くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ノスタルジア」

ノスタルジア

アンドレイ・タルコフスキー監督の最高傑作と呼ばれている作品である。
とはいえ、今回もストーリーを把握できなかった。キネマ旬報のデータベースでフィードバックしてこの感想を書くことにします。

全体の印象はとにかく美しい。タイトルバックの霧に曇る景色の中で馬がいて人がゆっくりと向こうへ進んでいく。彼方には湖らしきものが見えていて閑静な森が周りを囲んでいる。実にのどかな景色である。

タイトルが終わると一台の車が遙か彼方からこちらへ走ってくる。乗っているのは主人公アンドレイと通訳のエイジェニア。二人はあるロシアの音楽家の足跡を追ってイタリアへやってきたのである。そのあたりの説明のせりふもほとんどなかったようなので、最初はこの二人の恋の逃避行かと思ってしまった。それほど、映像のみで語りかけてくるタルコフスキーの芸術は本当に難解である。

随所に、雨や水、霧、霞がたなびくシーンが繰り返され、美しい構図の中で二人の会話を通じてのストーリーが進んでいくのだが、どうにも物語の筋が読めなくて最後まで、参ってしまったというのが印象。
非常に長いワンシーンワンカットを駆使し、さらにそれぞれが水や鳥などの様々な自然のもので飾られていく。それぞれにどういう意味があるのかと考えていくとさらに難解の深みにはまっていくのである。

ドミニコと呼ばれる修道士に出会い、彼にたくされたろうそくの義務を果たすためにアンドレイは温泉を何度も往復する。一方のドミニコは演説の後に大衆の前で焼身自殺する。これはもう完全なシュールの世界である。

ラストシーンはタイトルバックの景色が繰り返されたかのようなシーンからカメラが大きく引くと巨大な聖堂のなかでこちらに手を伸ばす主人公の姿で終わる。これ以上コメントもできない。もう一度見直せばいいのかもしれないが。