高校生のころ、なんばの戎橋劇場の二階客席から初めてみたこの映画、その夜はラストシーンが夢に出てくるほど感動し、サウンドトラック(当時LPレコード)を数え切れないほど聞いて、いまだにほとんどの歌詞をそらで歌えるほどのめりこんだ傑作。いや名作。30数年ぶりの大スクリーンでの鑑賞である。
名曲の数々、名シーンの数々が現れてくるに背筋が寒くなるほど震えがきた。懐かしさ、そしてこの映画のすばらしさ、名作の貫禄、スターたちの息吹、ナタリー・ウッドが、リチャード・ベイマーが、ジョージ・チャキリスが、大スクリーンで歌い踊る。これこそ名作、これこそ夢の映画なのです。
映画館に入るとそこは別世界、そこにはフィクションであるとはいえ、私たちに夢を与えてくれる魔法の世界がありました。そんなひと時をもう一度味あわせてくれました。
もちろん、この映画が名作たるゆえんとなるミュージカルナンバーのすばらしさとか、ジェローム・ロビンスのダンス演出の見事さとか、ロバート・ワイズの卓越した演出手腕とか、ストーリー展開のリズム感の完成度とかいろいろ分析ができるかもしれませんが、そんな理屈より、まず感じてほしい。これが本物、これがスクリーンで見る映画なのだということを。