くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シュアリー・サムデイ」

シュアリー・サムデイ

大好きな上戸彩ちゃんが友情出演に近い形で出ているというだけで見に行った作品。
監督は俳優としては好きな小栗旬

出だしは良いのだが、全体に映画を撮ってみたい少年が自分の交友の広さでかき集めたキャストとスタッフで作った素人映画に近い作品でした。
ストーリーの展開がなんとも雑で、あちこちにちりばめた伏線やらラストで糸がほぐれるように見せる謎解きの妙味やらが次々と二転三転するとりとめのない物語展開でまったく筋が通っていないのです。あれもしよう、これもしようと詰め込んだ結果による演出がその脚本によけいに歯止めをかけず、煩雑にさえなっている。

せっかくの小気味よいミステリー調の青春映画かと思えたのですが残念です。

松竹、角川のロゴのところからなにやら若者のふざけた声がかぶります。そして始まるのはとある高校の窓、文化祭中止を阻止すべく教室に立てこもった主人公たちの高校生5人の姿、それを校庭で見守る学生や先生たち。カメラはそれらを写してから何もない老化や教室のかとを挿入。

火薬を入れなかったはずの脅しだけの爆弾が実は火薬が入っていて、タイマーも止まらず大爆発。逃げる四人と行方知れずの一人。こうしていきなりのつかみはまぁ成功だったでしょうか。しかし、この後に現代の姿に画面が移ってから何度も見せる3年前、10年前というフラッシュバック、これがややしつこい。このあたりですでに映画としてのリズムが狂い始めていくのがなんとも惜しいです。

それでもがんばってみていると、小西真奈美のエピソード、宮城のエピソード、やくざに追われるエピソードが次々と語られていく。そして、最後の最後に明かされるのが、すべては3年前の学校爆破事件が生んだ偶然の積み重ねによるそれぞれの登場人物の人生のわずかな狂いであることが明らかになる。

と、こうして書くとなんとも絶妙のおもしろさを醸し出すはずなのだが、途中のシーンの数々が今ひとつ迫力に欠けるし、芯が通っていないのです。そのためにラストのおもしろみがおもしろみでなくなっているのです。演出に疲れが見られるというべきでしょうか?

実際、小栗旬ははじめての監督経験でほとんど夜は眠れなかったと聞きます。それが原因とはいいませんが、今ひとつバイタリティのある画面づくりがほしかったですね。時々技巧的にどっかで見たようなありきたりの映像表現なども連発されてくるとさすがにうんざりしてくる。

でも、最後のエンドタイトルで目的の上戸彩ちゃんがみれたのでまぁよしとしようか