怪作というふれこみであったので、レアシネマ鑑賞にと出かけた一本。
森繁久彌が一人二役で大奮闘、踊るは歌うわ、才能満開のチャラけたコメディ映画でした。
物語はたわいのない話で、原子物理学の権威である博士と、口から出任せに詐欺まがいの毎日をおもしろおかしく送る弟が巻き起こすドタバタ喜劇、そこへ絡んでくる訳のわからない某国のスパイたち。これといって練られたわけでもなく、その場限りの即興で作ったのではないかと思えるような演出で、笑うに笑えない。
あまりにも幼稚な画面は完成度を求めてこの映画を見ると、失望甚だしいと言わざるを得ません。
とはいえ、これも華やかなりし映画産業黄金期の一ページそのものの作品であり、この手の映画も大量生産されていた当時の息吹を感じる上では貴重であったといえばそういうことなのです。