くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ジェニファーズ・ボディ」

ジェニファーズ・ボディ

「ジュノJUNO」でアカデミー賞脚本賞を受賞したディアブロ・コディの脚本による学園ホラーである。
そのスタイリッシュな映像と、オリジナリティあふれる演出、さらに身の毛もよだつホラーでありながら、どこか10代の女の子の微妙な心の揺れ動きを見事に表現したセリフや行動の数々を物語に織り込んだ脚本の秀逸さ、さらに主演の二人ミーガン・フォックス(ジェニファー)とアマンダ・セイフライド(ニーディ)の魅力などまるで青春物語のようなおしゃれ度に圧倒される作品でした。

映画が始まるととある広い芝生のある庭、画面の右に古タイヤがぶら下がっていて、カメラがゆっくりとその庭の向こうにある一軒の家へと近づいていきます。中には一人の女性がベッドで横になってなにやらトレーニング器具の宣伝のテレビを見ている。カメラが窓辺に移るとそこに一人の女性がじっと中をのぞいている。寝返りを打って窓の方を向くとその女の子の姿はない。ショッキングなファーストシーンから引き込まれます。
一方、刑務所で暴れて独房に入れられるニーディの回想シーンが挿入されます。
シーンが変わるととあるハイスクール、仲良しのジェニファーとニーディが今夜のバンドを見に行く話をしている。

この導入部が非常にさりげなくそしてどこか危険な香りを漂わせて、見事に観客を物語に引き込んでしまいます。
そして、ここでニーディのボーイフレンドの紹介など主要人物の紹介が終わると、シーンは夜のバンドを見に来た二人のシーンへ、ここで突然火災が起こるというある意味偶然の不気味さが次第にこの映画のミステリアスな展開を盛り上げてきます。

そこでジェニファーと分かれたニーディ、家に帰ると、誰かが忍び込んでいるような恐怖、そして現れる血だらけのジェニファー、血を吐き出すショッキングシーンが続きます。ところが一夜明けるとジェニファーはふつうの女の子になっている。
実はジェニファーはバンドのメンバーに黒ミサのごとき儀式の犠牲になり、すでにこの世の人間ではない。しかし彼女が処女でなかったために悪魔にとりつかれ、人間を食べて生きる魔物になっていたのです。

しかし、おぞましいシーンよりも、突然、獲物の前で豹変するジェニファーのショットが細かいカットで見事に挿入されているためにかえっておしゃれな映像に感じられてしまうからおもしろいですね。アメフトの同級生を襲う場面では、次第に森の動物が周りに集まってくるという演出も個性的です。

そんな彼女の正体を見抜いたニーディは彼女を倒すため、そして次のターゲットになったニーディの恋人を助けるため本を読んでその退治方法を覚えるのですが、すでに間一髪でボーイフレンドは彼女の餌食に。
ここでファーストシーンに戻り、ジェニファーがベッドでテレビを見ていると窓の外にニーディ刈忍びより、突然飛び込んで心臓にナイフを突き刺す。そこでジェニファーの母に見つけられてニーディは刑務所へ。

しかし冒頭で刑務所で独房に入れられたニーディは実はジェニファーにかまれた傷が元で悪魔の力を一部身につけていて、体を浮遊させて刑務所を脱出、黒ミサを行ったバンドのメンバーを退治すべく旅立つ。エンドクレジットでそのバンドのメンバーが殺される様子が描かれて映画は終わります。

映画のテンポが非常に軽やかでアップテンポな上に、採用している音楽のセンスが素晴らしくポップなムードを醸し出しています。その上、セクシーに変貌したジェニファーが誘惑するシーンもかなりエロティックで刺激的、とてもグロテスクなホラーを感じさせない脚本が見事と言うほかありませんでした。

傑作という言葉より、秀作と呼べるホラー映画だったと思います