くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハナミズキ」

ハナミズキ

今時珍しい職人監督として、「いま会いにゆきます」以来私が好きな土井裕泰監督作品なので見にいきました。
もちろん新垣結衣も嫌いではありませんが、それ以上に好きなのはわき役の蓮佛美沙子ちゃん。

この手の映画に作品の出来ばえなどを述べるのは野暮な話で、純粋に物語を楽しみ、好きな女優さん男優さんに注目し、ありきたりの物語もスクリーンの中のフィクションと割り切って楽しめばいいのです。

物語は主人公紗枝の高校三年の受験時代から社会人になるまでの物語で、そこに幼なじみたち、周りの大人たちの淡い恋い物語が展開していきます。
そんな人生のひとときのラブストーリーを土井監督は非常に美しい画面を所々に挿入することでその幻想性、夢物語の魅力を高めています。

冒頭の満開のハナミズキのアップ、灯台で紗枝(新垣)と康平(生田)のファーストキスのシーン、夜の駅で寄り添う二人に雪が舞うシーン、康平の父親が船の上で倒れその船が夜の海を滑走するシーンでカモメが舞うシーン、などなどがとにかく目が覚めるほどに美しい。難をいえば、アメリカで仕事をする紗枝の姿をとらえた海外のシーンが撮り慣れていないせいか非常にレベルが低いのが残念です。

この手の物語の傑作といえばエリア・カザン監督の「草原の輝き」がありますが、あの作品と比べるのも無茶というものでしょうね。
それぞれが、その青春時代に恋を経験し、その後遠回りをしてから大人になってそれぞれの初恋のままにハッピーエンドになる展開は夢物語とはいえ、素直にラブファンタジーとして楽しめばいいと思う。展開につっこみを入れたらキリがないし、こういうピュアな物語を素直に受け入れられる心の柔軟さも忘れてはいけないと思う。

テレビドラマでは味わえないスクリーンならではのファンタジックなラブストーリーとして私は楽しみました。