くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「恋愛戯曲〜私と恋におちてください〜」

恋愛戯曲

監督が鴻上尚史なので、もう少し独創的な映像化と思いましたが、これといってとり当てるほどでもないたわいのない映画でした。もともと鴻上尚史さんのオリジナル戯曲なので舞台の面白さはいかほどかなんともいえないのですが、あえて、映像にするにあたって特殊な加工をしなかったのでしょう。

まぁ、この映画を見に行った目的は大好きな深田恭子さんを見たかっただけなので、それ以外はどうでもよかったのです。
全編に彼女の出ないショットは無いというほどの大活躍で、アップからロング、奇抜な化粧から、主婦姿、ど派手な女性役など多彩な彼女を堪能できました。しかも、さすがにスクリーン栄えする彼女、どのショットも彼女のかわいらしさがまったく見劣らないほどに素敵。ただもう、それだけを楽しんでいたのですが、ラストシーンはじんわりと感動している自分もいたので、決してつまらない映画でもなかったのでしょうか。

物語は単純、いまや落ち目になった人気シナリオライター。とはいえいまだに俳優たちにも絶大な信頼と、ファンの多い作家です。そんな彼女にある有名化粧品会社のタイアップの企画が飛び込み、いまや締め切り間近という状況。そこへプロデューサーとして彼女にシナリオ原稿をもらいに行くことになったのが、テレビ局の墨でビデオ整理をしている落ちこぼれ社員向井(椎名桔平)。とにかくひたすらお願いするも対する谷山真由美(深田恭子)は「私と恋に落ちてくれたら書く」と無理難題。

こうして幕を開けるコミカルな物語なのですが、どうもコメディドラマにチャレンジしているのか椎名桔平、がんばっているのですが、どうも間がうまく取れてなくて笑えない。それでもとにかく物語は進んで、紆余曲折の末、原稿は完成、真由美と向井は本当に恋人になってキスシーンで映画は終わります。
と、実はこの向井、この業界に入ったときに敏腕プロデューサーとしてとあるテレビ局でホープでしたが、その後落ちぶれて名前を変えて今の局に入っていたことを製作部の部長が知っていての抜擢だったという落ちもある。

全体に、いまひとつ笑いがこみ上げないのはそれぞれのキャストに笑いの間がうまく取れていないのもあるが、やはりもう一歩踏み込んだ映像世界を演出してほしかった。劇中劇の主婦の物語もいまひとつ面白みにもかけるし、編集の組み立ても平凡なのが残念。
鴻上尚史という個性的な劇作家の才能を期待していただけにちょっと期待はずれでした。

でも、何度も書きますが、深キョンが最高だったので、それだけで十分に見た甲斐がありました。だからラストもちょっとジンときたのかもしれませんね