くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「樺太1945年夏 氷雪の門」「ラブコメ」

氷雪の門

樺太1945年夏 氷雪の門」
いわずとしれた第二次大戦直後、すでに終戦していたにも関わらず樺太侵攻してきたソ連軍の銃火の中、最後まで電話交換局を守った9人の女性交換手の壮絶な最後の物語である。

制作当時1974年、超大作として完成しながらも公開間近にソ連側の圧力によって公開できず、その後、地方で短期間上映されたもののそれっきりでフィルムも散逸していた幻の作品。今回、散逸していたフィルムをかき集めデジタル処理して119分に再編集し、ようやく36年ぶりに日の目を見た幻の映画である。
もちろん、映画としての質の善し悪しはこの場合語られるべきものでもなく、歴史の真実を丁寧に描いていくことに終始したきまじめな作品であるが、物語が始まってからラストシーンまで、全編クライマックスと呼べるほどスタッフ、キャストのこの物語に対する鬼気迫る迫力が伝わってくる力作でした。すでにソ連領だった樺太の町並みを再現した木村威夫さんのセットも圧巻。

物語は1945年8月8日、すでに本土では原爆も投下され敗戦の色が濃くなった頃、舞台となる樺太ではまだのどかな日々が続いているところから始まります。しかし、時をへずして、次第に不可侵条約を結んでいるソ連軍の動きが不気味になってくる様子が描かれます。樺太は半分がソ連領のため、いわば陸続きなのです。

そしてまもなく終戦、にもかかわらず国境付近まで迫っていたソ連軍はそのまま侵攻、国際法など容赦なく日本軍に砲火を浴びせ、民間人にさえ銃を向けてきます。その様子は、かなり日本の一方的な描写のようでもあるので、当時ソ連の圧力があったのはわからなくもありません。しかしこれは当たらずといえども遠からずの歴史的事実であり、それを元に壮絶な最期を遂げた女性たちの物語は決して日本人が忘れてはいけない出来事なのだと思います。

日本パッシングしている「ザ・コーブ」や自分の国を平気でを見下している「キャタピラー」などに喜々している今の観客に、是非拡大公開して見てほしいと思います。


「ラブコメ
最近、このラブストーリーものにはまっている感じである。この映画も原作は人気小説。うまくいきそうでいかないもどかしさと切なさをコミカルに描いていく映画である。

映画が始まると、画面いっぱいに花、物語の舞台が花屋さんであることからカメラが引くと北乃きい扮する涼子と香里奈扮する真紀恵が花屋さんでおふざけ中、そこへ道の向こうから一人の青年見晴がのぞいている。
小学校以来17年近く思いを寄せる真紀恵の今の姿に惚れなおしてのぞきにきた青年見晴である。

この見晴はアニメの脚本家で、アテレコのスタジオで声優の渡部篤郎扮する西島と大の仲良し、ところがこの西島の通うキャバクラで働くのが涼子、密かに西島に思いを寄せる涼子のラブストーリーと見晴と真紀恵、真紀恵と元彼江島のラブストーリーが交錯してストーリーが展開して、アニメシーンを挟みながらコミカルかつ軽いテンポで映画は進んでいく。

特に映像にこっているわけでもないし、ストレートに展開する作品は、非常に見やすくて、さわやかで楽しい。挟まれるコミカルなアニメーションがスパイスになって、甘酸っぱくもハッピーな物語はつぎつぎとクライマックスへ進んでいくのが本当に好感。特に、北野きいがなかなか良い演技をしている。

ラストはそれぞれがハッピーエンドになるという楽しい結末で、映画って楽しいなぁと思わせる一本でした。