バルザックの原作を映像化した作品ということだったので、覚悟はしていたが、正直かなり退屈な映画でした。
延々と、なるようでならない恋の物語が、繰り返されるせりふの数々で舞台劇のごとく展開する様はしんどいの一言につきる。
もちろん、ジャック・リヴェット監督の美的感覚に研ぎすまされた演出はろうそくの燭台を巧みに画面に配置したり、古い修道院の建物の美しさを効果的に画面に生かしたりと芸術的であることこの上ないが、いかんせん演出に抑揚がないというか、文芸大作を意識した格調高い映像を目指したか、淡々と進む恋の物語は「シラノ・ド・ベルジュラック」のあのせりふの応酬劇を思い出しました。
映画はナポレオンの配下で英雄になった主人公モンリヴァー将軍が修道院に立ち寄り、そこで礼拝をしているものの気分が悪くなり、一人その島に残るところから始まります。
実はその修道院にはかつての恋人ランジェ公爵夫人が修道女となって住まいしているのを知り、会いに来たのです。
しかし、格子越しに面会したものの、かつての恋人と知った院長は二人を引き離してしまいます。
時はさかのぼって五年前、モンリヴァー将軍とランジェ公爵夫人が舞踏会で出会うところへ場面は変わります。そして、時にサイレント映画の字幕のように時間がたつ様や状況の変化を文字ショットで挿入しながら、ランジェ公爵夫人がモンリヴァー将軍と離れ修道院にいくまでのいきさつが語られていきます。
最初はランジェ公爵夫人からこの将軍に興味を示したものの、一目で彼女に惹かれた将軍はいわれるままに毎夜公爵夫人の家に。しかし、まるでもてあそばれるような対応に次第に耐えられなくなり、婦人を拉致、募る思いをうち明けて婦人の前から姿を隠します。しかしあえなくなると愛しいのが恋人同士、公爵夫人はなんとか将軍に会おうするも取り合わず、最後に決心して、8時に将軍の家の前で待つと告げる手紙を出しますが、ふとした行き違いで将軍が外出できず、時間の行き違いのままに婦人は修道院へ。
嘆いた将軍の気持ちを察して、知人たちが彼女を捜し、そして冒頭のシーンへつながります。
どうしても、もう一度手に入れたい将軍は仲間と修道院へ忍び込みますが、すでに命を絶った婦人の姿を目にするという悲しいラストを迎えます。
壮大なラブストーリーですが、やはり私にはあいません。