くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「素直な悪女」「裸で御免なさい」

素直な悪女

「素直な悪女」
映画監督で夫でもあるロジェ・バディムがブリジッド・バルドーを大スターに押し上げた記念碑的作品。
主人公ジュリエット(ブリジッド・バルドー)は孤児であったが、今住む町に引き取られ、本屋で働いている。しかし、自由奔放でかつ魅力的な彼女は土地の男性の注目の的で、ことあるごとに男遊びを繰り返しています。そんな彼女を見かねた引き取り手の女性は彼女を孤児院へ戻すといいだし、それを阻止するには彼女が誰かと結婚しないといけない。

そんなとき、土地の船のドッグを持つアントワーヌの弟ミッシェル(ジャン・ルイ・トランティニャン)が彼女にプロポーズ、アントワーヌを恋していたジュリエットだが、自分を遊び相手のように扱うアントワーヌに復習するようにプロポーズを受けてしまう。

一方、船会社の実業家エリックもまた彼女を得たいと思うも、とりつくしまのない彼女の姿に翻弄されている。

結婚はしたものの、束縛されるのが耐えられないジュリエットはことあるごとに母親にとがめられるもバーに出入りしたりして遊び回る。
そんなある日、ふとした船の火災事故で兄アントワーヌに浜辺で抱かれる。それがきっかけで、ミシェルは嫉妬に狂うが、結局、ジュリエットが愛するのはミシェルであると総てまとまって、ふたりが家にはいるところを遠景でとらえて映画が終わる。

ロジェ・バディムの演出は非常に妖艶で、冒頭の全裸で横たわるバルドーのショットに始まり、ちらちらと下着が見える服装や、波に塗れて透ける服装のショットなど、ドキドキさせる魅力が満載である。しかも、鏡や窓枠を使った画面の構図の組立、緒度品の配置、青と赤の服装や壁のペンキなどにさすがに巨匠の演出がさえ渡り、なかなかレベルの高い作品でした。

これだけこった画面作りなのにシネスコサイズながら今回はビスタサイズでの上映というのが残念ですが、ブリジッド・バルドーの官能的な魅力満載のハイレベルの映画だったと思います。


「裸で御免なさい」
ブリジッド・バルドー主演コメディの中でも名作とされている一本。この映画は解説通りの名作でした。
非常に緻密に組み立てられたプロットに沿ってフランス映画独特の機関銃のようなせりふの応酬と、次々と先へ先へ進むストーリーテリングのおもしろさは絶品。

モノクロスタンダードの画面ですが、軽妙なコメディのおもしろさを満喫できました。しかも、この作品のブリジッド・バルドーは何ともかわいらしいし、キュート。もちろん裸体を見せる場面や、透けた胸がセクシーですが、それが健康的な雰囲気を醸し出すからなんとも楽しい。

主人公のアニエスは「花占い」という本を書き、その本が住んでいる地方ヴィシーの町で評判になっています。しかし、将軍職で地元の名詞である父デュラン将軍はそれがおもしろくない。父と喧嘩したアニエスはとるものもとらず汽車に乗ります。

しかし、切符もないアニエス、たまたま知り合った新聞記者二人と仲良く成り、パリにすむ兄野本へ何とかたどり着きます。兄のユベールは画家として大成しているということでしたが実はバルザック博物館の監視人。博物館の住所を届けていたためアニエスは深夜博物館を兄の大邸宅と間違えて忍び込みます。

この後のコミカルな展開も見所の一つで、飾られている調度品を巧みに自分のものにするバルドーの演技は秀逸。

しかしお金のないアニエスはそこで飾られているバルザックの初版本を古本屋に売ってしまい、その後兄ユベールと会い事情がわかってから取り戻さなくてはならなります。そのお金のために素人のストリップコンテストにでる羽目に。しかし、顔を見せたくないアニエスは仮面をかぶりソフィアとなのって出場。それがかえって評判になり決勝戦へ。

一方記者の二人のうちの一人ダニエルはプレイボーイながらアニエスに一目惚れ、プロポーズしてしまいますが、根っからの女好きでソフィアをアニエスとは知らずに言い寄ってしまいます。

日和見なダニエルの心に悩むアニエス。一方決勝戦は父の住む故郷。そこで、ダニエルは父に結婚の挨拶をするといい、すべてのと登場人物がヴィシーの町に集まりクライマックスを迎えます。

勝戦の審査員に父デュラン将軍、そしてアニエスは自分の本が売れて、決勝戦にでる必要もなくなり身代わりを立てます。すべてが成るようにうまくまとまって、ハッピーエンドで終わるエンディングの見事なこと。
ダニエルとアニエスは日本へ新婚旅行へ。なんとも感覚のずれた日本の汽車内のシーンで映画は終わります。

脚本の秀逸さ、演出の絶妙さ、演技陣の軽快さが見事にコラボレートしてヨーロッパコメディの良い面が最大限に発揮された秀作でした。