くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「殿方ご免遊ばせ」

殿方ご免遊ばせ

ブコメというのはこうやって作るんだといわんばかりのお手本のような楽しい映画でした。古きよきフランス映画のコミカルな雰囲気が満載で、キュートでちょっとセクシーなブリジッド・バルドーの魅力がいっぱい。しかも、ウエディングドレスからビキニ姿まで多彩なファッションのオンパレードもこの映画の魅力を高めていて見応え十分。スクリーンの中に夢があった映画らしい映画、しかもせりふのやりとりや、シーンからシーンへの切り替えが絶妙で、自らの勘違いと、偶然のなせる状況の上に周りの人たちの悪意のない嘘がからまってこけにされるブリジッドの夫ミッシェルの様子が本当にほほえましい。さらに、ラストのくしゃみによるワンポイントのだめ押しのウィットが最高のエンディングを生みます。これぞ名作、傑作、と呼べる一本だった感じです。

映画が始まると、俯瞰でとらえたパリの景色、切り替わると真っ赤なオープンカーに乗ったブリジッドがこちらへ疾走してくる。背後に軽快でハイテンポの女性のスキャットが流れ、ぐんぐん走る彼女の姿に目を奪われます。たっている警官さえも彼女に視線を送るというファーストシーンの楽しさ。

車は大統領官邸へ。そこで秘書で女たらしのミシェルとすれ違い、ミシェルは不倫相手の愛人を空港へ見送りに。その車の後を追って再び疾走するブリジッド。
シーンの展開が本当に軽やかで次々と進んでいく楽しさは絶妙。

大統領の一人娘であるブリジッドはミシェルに恋している。うまく仕掛けた嘘で彼と父の別荘に泊まることに。そこでのどたばたの末に彼女はミシェルと結婚することになります。しかし、気のない二人はことあるごとにお互い浮気をしてやると息巻く。そんなところへフランス王妃とシャルル大公がやってくる。浮気癖の直らないミシェルを許せないブリジッドはシャルル大公と浮気してやると息巻くもそんなことは信じないミシェル。しかし、シャルル大公も言い寄ってくるブリジッドのことがまんざらでもなく、浮気心が芽生え、自家用気を借りて彼女とデートをすることに。

嘘が嘘なのに現実になる。真相を知るのは観客だけといわんばかりの展開のおもしろさ、翻弄されるミシェルの様子もほほえましいほどに憎めない。しかも、ミシェルとブリジッドはハッピーエンドになるのは明らかであるというのは観客にはわかっているという優しい展開も最高。

ラストシーン、ニースへのデートでお互い風邪を引いたがブリジッドとシャルル大公のくしゃみの意味を知るのは観客だけ。クローズアップでスクリーンからウィンクするブリジッド・バルドーのショットで終わるエンディングは本当にしゃれています。本当に、楽しい名作でした。