くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想[SPACE BATTLESHIP ヤマト」

SPACE BATTLESHIP ヤマト

原作アニメをリアルタイムで見て熱狂した世代にとって、今回の実写版は当然のようにけなすために見に行ったようなものである。ただ、救いは「三丁目の夕日」の監督山崎貴監督作品であるという点にかかっていた。

さて、この映画、オリジナルストーリーを踏襲しながらアニメでしかなしえない部分は改変し、それでいてオリジナル版にあるテーマ性をしっかりと残しながら作り上げたシャープな脚本とハイスピードかつテクニカルに演出された山崎監督の演出に拍手すべき一本であった。

SFっぽい画面作りについて「続・三丁目の夕日」の冒頭シーンで見せたゴジラが襲って来る場面のCGシーンを覚えている方は今回の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」映画であの見事なスピード感とシャープな演出に共通部分を見出したのではないでしょうか。
ゲーム的なCG画面でありながら、細かいカットと急速に移動させるデジタル的なカメラ移動の演出のスピード感は見事というほか無い。今回の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」では初めて飛び立ったとたんに襲ってくるガミラス船団にいきなり波動砲を浴びせる画面でのコクピットのカットつなぎはSF映画の名作「スター・ウォーズ」でデス・スターからすんでのところで逃げ出したミレニアムファルコン号を追ってきたダースベイダー以下の戦闘機を迎え撃つときのカットつなぎに非常に酷似している。つまりあのスピード感そのままに生かされているのは目を見張る。

ストーリーはオリジナルストーリーそのままなのでいまさらなのであるが、アニメ版の見せ場の数々を丁寧にエピソードの中に盛り込み、ドイツ軍を模したようなアニメ版のガミラス星人の姿は人物として描くと興ざめになることを見越して完全に異生物としてCGにて描くとともに、クライマックスのイスカンダルノスターシアはアニメ版ではいわば男性から創造した女性の理想像という姿をあえて具体化した姿で見せずに森雪の姿を借りて語りかけるという表現とさらにコスモクリーナー本体と同一として表現することで見事にファンの思いを裏切らない改変を施している。

ラストシーン、沖田艦長はアニメ版同様地球を一目見て死に、ヤマトはガミラスの最後のミサイルに突撃していくことで後を作らない潔さも演出、さらにエピローグはさらりと流して終わらせたストーリー展開も評価していいと思います。

世間の評判も評価もあまりにも酷な様に思えますが、私は泣くところは泣けたし、見ている間もはらはらどきどきと美しいCGにうっとりしてしまいました。
木村拓也黒木メイサも別にそれほどがっかりするような演技でもなかったし、エンターテインメントとして十分なできばえだったと思います。