アン・リー監督は特に嫌いな人ではないのですが、この作品は何ともつかみ所のない自主映画のような一本でした。
作品自体にまとまりがなくて、いったいどこへ進んでいくのか全くわからない。出だしは町おこしのごとく展開して右往左往する主人公と町の人々との盛り上がっていくヒューマンドラマのごとく始まるが、途中で人間の欲がちらほらとかいま見得始め、さらにヒッピーたちが集まってくるあたりから自由のあり方、主人公エリオットのこれまでの人生への悩みのごとくの内面の物語になる、そして、終盤でLSDを飲んでハイになるあたりから家族の物語へ向かっていく。そして、コンサートが終わってエンディングではあれ果てた会場を見て、どこか時の流れを哀愁させる。
結局、自分の過ごした青春時代への回顧、懐かしい若き日への思い出をノスタルジックに自主制作したのではないか。といってもそのノスタルジーが観客に伝わってくることもない。唯一、オカマの用心棒がなかなかいいキャラクターなのだが、彼(彼女?)もそれほどの出番もなく映画は終わってしまう。
今思い返しても、どこにポイントがあるのかもわかりずらい。そんな映画でした。