くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キラー・インサイド・ミー」

キラー・インサイド・ミー

何とも不思議なムードのある映画である。

凶暴な殺人鬼を主人公にした物語なのだが、何とものどかな風景描写、テンポのよいカントリーウェスタンをバックミュージックにした軽快なストーリー展開、しかも登場人物もどこか紳士的で人を疑うという者が見られない。
時代背景は1950年代、主人公は模範的な青年保安官だが、ある日突然内なる凶暴性が目を覚ますという物語。

ラストシーンに至ってはまるでおとぎ話のエンディングのようにファンタジックに幕を閉じてthe endがでるという趣向である。シリアルキラー物のホラー映画か?それとも、お気楽なコメディか?それともラブストーリー?そんな疑問がぐるぐると回るのがこの映画の独創的な部分だろう。

映画が始まるとカントリーウェスタンの軽やかなギターの音をバックに物語が始まる。主人公フォード(ケイシー・アフレック)は模範的な保安官助手。ある日、町外れにすんでいる売春婦ジョイスジェシカ・アルバ)を追い出してほしいと依頼される。

早速出かけると、何ともチャーミングな女性ジェシカが出迎える。悪態をつく彼女はフォードに平手打ちを何度もする。それに反撃してフォードは彼女を殴り倒しそのままベッドへ行きSEXする。そして、そのときからフォードの何かが目覚め、お互いに惹かれ会う。連日フォードは彼女の元に通うが、彼女にフォードの幼なじみであるエルマーが夢中であることを知り、彼を引き合わせ、金を巻き上げる段取りをする。ところが、約束の日、突然フォードはジェシカを殴り殺すのである。そしてやってきたエルマーに罪を着せるべく彼も撃ち殺す。

なんとも、ショッキングな部分だが、どこかのどかな映像であることに気がつく。時代背景が1950年代なので車もクラシックだし、風景もまだまだ田舎っぽいせいかもしれません。

そして、フォードには以前からの恋人エイミー(ケイト・ハドソン)がいる。殺戮を繰り返しながらも、彼女と何度も愛をはぐくんでいくが、この町を二人で出る決心をし駆け落ちの日取りを決める。

一方フォードに疑いを抱くハワード検事が、少しずつフォードを追いつめ、彼を精神病院へ送るが今ひとつ彼を逮捕してしまう確証に足りないまま、自宅へ連れ帰る。このあたりの展開がなんとも素直に理解できないストーリー展開なのがかえってこの作品の不思議なムードを増幅させていきます。

連れ帰られたフォードは自宅にガソリンを撒き、ハワード検察官やボブ保安官を待つフォード。そして、そこへ死んだと知らされていたジェシカがつれてこられるが、彼女は真相をしゃべっていないといいながらフォードに詰め寄ってくる。フォードは彼女をナイフで刺し殺す。保安官がフォードを撃ち殺す。ガソリンに引火して大爆発、フォードとジェシカは抱き合った炎に燃えていく。不思議なラストである。

体調が悪かったのか、映画のリズムがよくなかったのか、眠くて眠くて、なんども眠りかけたが、最後までこの不思議な映画を身終えた。秀作なのか怪作なのか、何とも評しがたい映画でした。