ブルース・リーの師匠として有名な実在の武闘家イップマン(葉問)の半生をつづった作品で、昨年見た「イップマン葉問」の前半部分である。
物語は武闘街と呼ばれる中国佛山から物語が始まる。地元の武闘家の間からも信頼され羨望されている葉問は地元の名士で自ら弟子もとらず、裕福で平穏な生活を送っている。一枚のたこがその邸宅のそばの木に舞落ちる所から始まる導入部分はなかなかである。
そんな平和な生活にやがて日本軍の占領という激動の時代がやってくる。物語のほとんどがこの時代を背景にしており、中国人と日本人の武術を絡めた確執、諍いがそのストーリーの中心になる。
昨年見た後半部分もそうでしたが、格闘シーンが実にしっかりしていて、見ていてリアル感も十分でとてもおもしろい。しかも、全体のストーリー展開もだれるところもなくしっかりと丁寧な脚本の組立がなされているようで、無駄なく楽しめるのはこの前半部分でも全く変わりません。アクション演出にサモ・ハンキンポーが参加した香港映画ゆえかもしれません。
日本人の占領群の隊長三浦が空手の達人でなんと池内博之さんが演じている。彼と葉問が一騎打ちをするのがクライマックス。そして葉問が勝ったあと、いけ好かない日本人の部下によって撃たれてしまい、重傷を負って香港へ逃れるまでを描いています。
当初はこの前半部分で終わる予定だったようで、香港にわたってからの行く末もナレーションされ、ブルース・リーが入門するエピソードも語られて映画は終わります。
作品としてもとてもおもしろいので、ヒットしたのでしょう。だから、香港での活躍を描いた第2章が描かれたのだと思います。
この手のカンフー映画を好まない人はともかく、純粋に楽しめる作品で、ふつうのレベルの映画に仕上がっているので劇場で見ても損のない一本だったと思います。