くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンノウン」

アンノウン

「96時間」あたりから最近のリーアム・ニーソンはこの方向へ進んでいるのでしょうか。今回のサスペンスもアクションミステリーという感じで、謎が謎を呼びながら次第に真相に迫っていく。そして証されるどんでん返しのごとき真相というお話。評判もいいので期待して見に行きましたが、期待通り、楽しむことができました。手放しで傑作と言えるほどでないにせよ。次々と謎の中に引き込まれていく展開はまさにエンターテインメントです。

飛行機の窓から外を見る主人公マーティン(リーアム・ニーソン)、となりには愛する妻エリザベス(ズアニュアリー・ジョーンズ)。
着いたところはベルリン、主人公は植物学者の教授で、今回講演で呼ばれている。ところが、空港で忘れ物をしたことに気付いた彼は妻に一言もいわずあわててタクシーに。ところが不慮の事故で4日間の昏睡状態へ。目覚めると、妻は自分のこと走らないし、自分の名をかたる別人がいる。果たしてどうなっているのか??

迫ってくる追っ手や不気味な殺し屋を交わしながらたまたま載せてもらったタクシーの運転手ジーナ(ダイアン・クルーがー)や病院の看護士に教えてもらった旧東ドイツ秘密警察の探偵まがいの男と真相を追求していく。この展開は実におもしろいのだが、どうもこの探偵まがいの男の存在が希薄な上に、今ひとつジーナが彼を助けるための同期が弱い。不法入国者という前提も今ひとつ物語に深みを与えないのが何とも残念。

結局、実はマーティンは暗殺集団のプロで、ベルリンにやってきた画期的な遺伝子トウモロコシの発明者の博士暗殺のために爆弾を仕掛けたことが判明。当然、マーティンという名も偽名で妻も暗殺集団の一人であったというどんでん返しで真相が証される。確かにこのクライマックスはおもしろい。しかし、彼を追ってやってくるロドニー・コールの存在も今ひとつ存在感にかけるし、暗殺集団の設定が実に希薄で頼りないために、今ひとつマーティンが危機に陥るという緊迫感が足りないのが残念だった。

結局、ジーナといずこかへ旅に出るマーティンのショットで幕を閉じるものの、なぜ彼が暗殺集団に追われるのか、なぜ良心に目覚めるのか、いつジーナと親密になったか、それぞれの描写がちょっとお粗末すぎるのがもったいないですね。おもしろい映画ですが、かなり粗の目立つ作品でした。