くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「メアリー&マックス」

メアリー&マックス

実話を元にしたマペットアニメで、素直に泣いてしまいました。
メアリーやマックスの可愛らしい動きがすごくユーモア満点で思わず微笑んでしまいます。周りを彩るニワトリ、犬、人物などどれも憎めないほどに愛らしいのです。

背後に流れるピアノの軽やかなリズムも最高で、一見しんみりしたシーンもさりげなく流してくれます。
メアリーもマックスもそれぞれの生活環境はかなり厳しいのに、屈託なく進むストーリーが決して後ろ向きにならないのがそれもまた最高なんですよね。

物語は簡単、オーストリアに住む一人の少女メアリーはいつもいじめられながら毎日を過ごしている。額にはウンコ色と自分で言うあざがあり、母はアル中、父も仕事だけで相手にもしてもらえない。しかも母は万引きの常習犯でもある。一方のニューヨークに住むマックスは自閉症で表に出ると馬鹿にされるだけで肥満が進んでダイエットの会などにも出席するいわば引きこもりのおじさん。

ある日、メアリーはたまたま引き裂いた電話帳から文通相手を求めてマックスに手紙を出す。それぞれがチョコレートが好きでどこか共通する二人はその手紙をきっかけに文通が始まるのですが、お互いの人生でさまざまな事件の中、時に文通が途切れたりしながらも数年の歳月が流れていきます。その間メアリーはマックスをマックスはメアリーを励ましながら文通が続きます。

ところが大学を卒業するころになったメアリーは心理学の論文でマックスのことを書いたために二人に確執が生まれてしまいます。
そして疎遠になった二人、しかし、それぞれが孤独に耐えられるわけもなく、マックスはお詫びに自分のコレクションのフィギアをメアリーに送呈しお詫びをします。その手紙をあわや首吊りする寸前に読んだメアリーはある日マックスに会うためにニューヨークになってくる。そして、これからも仲良くしようとマックスのアパートに着いたその日、マックスは自宅で息を引き取った後でした。

途中にマックスが宝くじに当選して大金持ちになって近所の人たちを幸せにするくだりや、結婚して幸せになるも自らの論文がマックスに拒否されてそれがきっかけで荒れていくメアリーに愛想をつかして最愛の夫も去っていくくだりなどさまざまな事件が挿入されています。
さらに、近所の人たちとのかかわりの中で生まれる心温まる物語などもふんだんに取り入れられたストーリーは見ている私たちに涙を誘わないエピソードがひとつもないのです。

直接心に訴えてくるストレートな美しい物語、本当にいい映画に出会った気がします。