くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アリス・クリードの失踪」「ロスト・アイズ」

アリスグリードの失踪

アリス・クリードの失踪
二転三転するストーリーとミステリーでかなりおもしろそうな期待で見に行ったのですが、正直、かなり期待はずれの一本でした。

映画が始まると、地面をはうようなカメラで一台の車がとらえられ、そこに二人の男が乗り込む、そしてホームセンターらしきところで様々な道具などを買いそろえ、どこかの部屋に行って内装やらを改装するシーンに始まる。

そして、突然一人の女を誘拐するショットへスピーディに引き込んでいくのですが、なんとも、その後、わずか後にこの女アリスと犯人の一人ダニーとの関係が観客に明かされるのである。実は二人は愛し合っていて、アリスの父親から金を取る計画を立てたのだとダニーに言われ、まぁよくある展開だから、この後どんなどんでん返しがあるのかと思っていたら、これというほどのものはない。

相棒の犯人のヴィックが二人に迫る場面や、ヴィックにない書にしているダニーとアリスの関係がばれそうになってはらはらするエピソードもあるが、それほど大して緊張感も生まれてこない。

カメラワークやつなぎのおもしろさで引き込むパターンもあるがこの映画についてはそれも大して工夫もない。
結局、二人の関係が最後にばれて、ダニーとヴィックは仲違いをし、打たれたヴィックはアリスに鍵を渡して死んで、逃げたダニーはその前にヴィックに撃たれた傷が元で逃げようとした車の中で死ぬ。

脱出したアリスはその車に乗り、金を持って走り去ってエンディングって、かなり平凡な落ちである。
期待しすぎたのもあるが、この程度のミステリーならはいて捨てるほどある作品ジャンルだと思います。期待しすぎて、残念な一本に終わってしまいました。

「ロスト・アイズ」
ギレルモ・デル・トロが製作総指揮をつとめた期待のホラー映画。非常に凝った映像と、これでもかと繰り返すホラー映画の常道的な展開のおもしろさは一見に値する一品でした。

ただ、あれもこれもという監督の意気込みが全面に出すぎた性か全体にしつこいほどに怖がらせシーンが繰り返され、とどめの殺人鬼の母親が登場するに至っては、ちょっとまいったかな。
それでも、最初から最後まで楽しめる一本でした。

映画が始まると一人の女性サラが暗闇を凝視しおびえている。時々、暗闇からフラッシュがたかれ、なにやらいそうなムードを醸し出す。一方のサラは目が見えないらしい。手探りで逃げ回ったあげく地下室で首をくくってしまう。
音の使い方、カメラのアングルで見せる恐怖、ショッキングなカットつなぎなど、ホラー映画の常道とはいえひさしぶりにわくわくする導入部です。

いっぽう、姉に電話をしても返事のない双子の妹のフリアは不審に思って夫イサクとともに姉の家を訪れ、姉の死を発見。しかし不審に思ったフリアは姉の死の真相を探り始める。しかしフリアも目に病があり次第に失明へ向かっている。

サラが親しくしていた近所のおばあさんや通っていた集会所、行ったホテルなどを探るうちに恋人の存在を認め、必死でさがすが、そんな姿をイサクは心配でたまらない。

やがて、イサクが何者かに殺され、実はサラとイサクが恋仲であることを知らされ、そんなときフリアにドナーが見つかり目の手術をする。いろんなエピソードがてんこ盛りの展開である。

自宅で療養するフリアに介護士イヴァンがかよってくる。この介護士、カメラはその顔を決して映さないところから、なにかある?というよりたぶん真犯人?というムードが漂い、クライマックスへ向かう。

サラが親しくしていた近所の親子の父親から逃げてイヴァンの家に逃げ込んだフリアはそこでまだ完治まで日あるにも関わらず手術の包帯をとり、かすかに見える目でイヴァンの真の姿と真相を知る。迫ってくるイヴァンに電気を落として真っ暗な部屋で対決。まるで「暗くなるまで待って」である。

フラッシュをたきながら迫るイヴァン、血とモノクロの荒い画面がバッバッとフラッシュにあわせて画面いっぱいに広がる様はなかなか見応え十分。

そして、警察が踏み込んで一件落着。フリアは自分へのドナーの提供者がイサクであることを知り、生前、イサクが「君の瞳の中には宇宙が見える」というせりふを思い出し、やがて失明するフリアは最後の宇宙の星空を見て真っ暗になるエンディングは涙を誘います。

イヴァンの真の姿が表になってからが非常にしつこいほどのクライマックスで、しかも似フリアが逃げ込んだ家のおばあさんがイヴァンの母親だったというこれでもかという展開もちょっといろいろ出しすぎの帰来もあるが、ホラー映画なのだからこの程度の荒だらけの映画でいいんじゃないだろうかと思う。

格調を求めたのか、一級品のホラーを求めたのか、ちょっと監督の意気込みが走りすぎているけれど、楽しい一品でした。