くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」「現代インチキ

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」
いよいよクライマックス、すべての締めくくりを見てきました。
第一部が非常にできばえの良かったこの最終章ですが、ちょっと期待を裏切られたというのが正直な感想です。とはいえ、見所満載と、今までのオールキャストが次々と登場、物語を締めくくってくれます。そして、これまでの謎が一気に明らかになってくる終盤は胸のすく思いでした。

前半の最終決戦となるべく学生たちや先生たちが一丸となって身構えるシーンは娯楽映画の常道とはいえわくわくしてきますが、その後の決戦の後、ハリーとヴォルデモートとの一騎打ちまでが若干だれてしまう。原作が物語が進むにつれてレベルダウンしていく欠点をいままで映像という媒体で補いながら盛り上げてきたのが今回は原作の欠点が露骨になってしまったということでしょうか。

まぁ、いずれにせよ、このシリーズに完成度が云々というのは贅沢というものであるし「ロード・オブ・ザ・リング」のようは一貫性を求めるのも難しいと思う。だからこれでよいのです。一級品のシリーズにならなかったのは残念ですが、これはこれで良かったと思います

「現代インチキ物語 騙し屋」
一見、エピソードの羅列のようなストーリーにも関わらず、次から次と機関銃のように小気味良く繰り出される騙しの物語が実に痛快。

絶妙といえる舌先三寸の台詞の妙味がおもしろい上に、単調な展開を控え、ここで一区切りかと思わせるともう一ひねり騙しの台詞が次々と飛び出してくる。そして間髪を入れずに次の展開へ移ったかと思うと、早変わりで次々と俳優たちの役回りを変えていくスピーディさが本当に絶妙の笑いを生み出してくれるのです。

監督は増村保造、女を描かせると絶品の監督ですが、こうも人情ドラマを描ききるとは、さすがに才能と呼ばざるをいえません。それに、人間の描き方はやはり増村監督ならではの視点が随所に見られるのはファンとしてうれしい限りでした。

映画が始まると、歯の抜けた汚いおっさんの口のアップから画面が始まります。

高度経済成長へ進まんとする日本の大阪を舞台に、四人の小物の詐欺師たちが舌先三寸で憎まれないほどに鮮やかに人を騙していく。それも大金でもない稼ぎを集めては山分けしながら毎日を暮らす様が実に人間味あふれていて好感。

どうしても仲間に入れてほしいと懇願していた男が最後の最後に鮮やかに四人を騙して仲間に入れてもらうところで映画は終わりますが、憎めない男たちの憎めない詐欺の数々の爽快さが光る珍品の作品でした。増村保造監督作品にもこうした映画があるのだとうならせる一本でした。