くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「コンテイジョン」

コンティジョン

この映画はサスペンスでもアクションでもSFでもありません。非常にシンプルな物語をドキュメントタッチでリアリティあふれる映像で描かいた社会ドラマなのです。もちろん中心になる人物は登場しますが、それぞれの名前はほとんど意味をなさない。いくつかのエピソードはまるでニュース映像の一部分のような様相さえ呈している。その点で娯楽映画と呼べないかもしれませんが、緊迫した状況を淡々と描いていくスティーブン・ソダーバーグの作品としてじっくりと鑑賞し、そして描かれた内容について考えをめぐらすにはなかなかの秀作であった気がします。

映画はいきなり2日後という物語から始まります。緊迫感あふれる音楽が背後に流れる中、一人の女性が風邪のような症状を発祥した後突然死んでしまう。世界中の大都市の人口がテロップされ、さまざまな年で次々と風邪の症状から倒れていく様子が語られていく。アトランタCDC職員チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)やドクターエリン(ケイト・ウィンスレット)さらに最初に犠牲になるベス(グウィネス・パルトロウ)やその夫ミッチ(マット・ディモン)の物語が小刻みに語られていく。そこに何のつながりもなくそれぞれがそれぞれにお描かれていくドキュメンタリーの手法でどんどん物語に緊迫感が増幅されていく。

マスコミの対応、ネット情報の影響など現代的な問題点から、都市の閉鎖、スーパーなどの暴動などと社会的な影響も徐々に拡大していくさまが実にリアリティ満点である。

そして、実験を繰り返すうちにワクチンが完成。その配布をめぐる攻防、そして人々のおびえ、まるでニュース映像をそのまま物語につないだかのような展開に一時もスクリーンから目を離せなくなっていきます。
やがて、次第に事態は収束に向かっていって物語りはエンディングへと進んでいきます。

エピローグ、ジャングルで一匹のコウモリが企業のブルドーザーで追われ、そのこうもりの食べたバナナを豚が食べてその豚が捕獲され、食肉に卸され、その豚を調理するコック長、そのコック長が呼ばれて、豚を触った手を適当に拭いて一人の女性と握手。その女性こそ最初の犠牲者ベスのショットになって「1日目」のテロップとともに映画が終わります。

食物連鎖の恐怖なのか、企業による弊害なのか、そのあたりの社会的なテーマがあるかどうかは人それぞれの感じ方だと思いますが、私は単純にリアルなサスペンスドラマと捉えて映画として楽しみたいと思います。