くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「リンダリンダリンダ」

リンダリンダリンダ

素朴なカメラワークでほんの些細な日常の3日間を切り取ったような物語。監督は山下敦弘です。

とある地方の高校の文化祭を舞台にまるでふつうに流れている時間の一瞬をとらえ、リアリティと言うより若さあふれる勢いが吹き出してくるような迫力で一気に突っ走る。ぶっつけ本番のような物語はそれだけで胸に迫ってくる感動を呼んでエンディングを迎えます。良かった。

一人の女子高生がカメラの前、といっても生徒会の記録映像でしょうか、これから始まる芝崎高校の文化祭のオープニングの言葉を語っています。

主人公になる軽音楽部の女子高生たち、突然のトラブルで文化祭を三日後に控えた日にメンバーが脱退、しかし、あきらめきれずに臨時でメンバーを集めはじめる恵。

韓国からの留学生ソンを勢いでボーカルに呼びいれ、キーボード担当の恵がギターに入ってとにかくブルーハーツの曲をやることになる。

片想いの恋があり、告白があり、徹夜の練習があり、留年している先輩がいたり、元彼のノリがあったりとふつうの高校生活の数ページが次々と盛り込まれていく。そこにはあたりまえに過ごしてきた自分たちの懐かしい青春も見え隠れしたりする。テクニックを使わないカメラが本当に身近な映像としてスクリーンにあふれてくるので、これは自分たちのついこの間過ごした高校生活なのじゃないかとさえ錯覚する。

これ見よがしの盛り上がりや非喜劇なんか全くない。それでいてラストシーン、舞台の演奏にかぶって暗転してエンドタイトルの後、胸がたまらなく熱くなってくる。なぜか心の片隅に残しておきたい一本の映画、そんな感動に涙があふれてホールを出てきました。

主演の香椎由宇ペ・ドゥナの存在感は見事ですが、まだ売り出し前の松山ケンイチ小出恵介がコアな映画ファンの目を楽しませてもくれました。みて良かったなぁ。