くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンダーワールド 覚醒」「ヒューゴの不思議な発明」

アンダーワールド覚醒

アンダーワールド 覚醒」
レン・ワイズマンが作り出したヴァンパイアと狼男ライカンとの攻防を描いたファンタジーアクション。前作でいったん終焉を迎えたように思ったが、なんとぶり返すように3D映画で再開。まぁ、3Dで見るまでもないかと2Dで見てきました。

なんといってもこのシリーズの見所はCGを多用したケイト・ベッキンセール扮する主人公セリーンが縦横無尽に暴れ回る爽快さ。これといった複雑なストーリーなどはなく、とにかく強い、スピーディ、超人的なアクションが胸をすく。

イカンとヴァンパイアの攻防の中人類が彼らの根絶のための大殺戮作戦を実行。いわゆる粛正と名打たれたこの作戦でほとんどは死滅したはずだった。そしてそのときの攻防戦でセリーンと恋人のマイケルは人間たちにとらえられてしまう。それは彼らが混血種として特殊な体質の持ち主であるため。そして12年後、物語が始まる。

密かに復活すべく地下に潜んだライカンは企業の研究室の研究員として潜入し再び繁栄の時をねらっていた。そしてそのために必要だったのがマイケルとセリーンの細胞とさらに彼らの娘。この娘がセリーンを脱出させるところから今回のアクションの見せ場が次々と展開していく。そして、ラストは再び始まったヴァンパイアとライカンとの攻防戦を予感させて終わる。

たわいのないストーリーがちょっと適当になりすぎ、第一作ほどのオリジナリティはなくなってしまったが、ラバースーツに身を包んだケイト・ベッキンセールのシャープなアクションは今回も炸裂、上映時間も短いので、あれよあれよとアクションシーンを満喫して気楽に見終えてしまう娯楽映画でした。まぁ、シリーズものなので惰性で見た部分もあったかと思いますが、楽しめたからこれでいいでしす。

ヒューゴの不思議な発明
映像派の監督マーティン・スコセッシ鳴り物入りで製作した3D映画、しかもアカデミー賞の撮影関係の賞を受賞した期待の一本でした。普段3D映画は控えるのですが、マーティン・スコセッシならと3D版を見ました。

ですが、最後までこの映画のリズムに乗り切れませんでした。しかも3Dめがねが痛い上に、画面が本来よりもちょっと暗くてなかなかのめりこみづらいのです。しまいには目が疲れてきて大変でした。

そんな悪条件で2時間を越える映画を見たのですが、確かに映像は美しいし、独特の奥行きのある構図を中心にした画面作りのバランスが本当に見事なほどにファンタジック。時計の中を次々と駆け抜けていく主人公ヒューゴの姿が私たちを夢の世界にいざなってくれるという感じです。

俯瞰で捉える町並みから映画が始まる。雪景色ではらはらと舞い散る雪を3Dで描きながらフランスはパリの駅の構内へカメラが迫って時計の4の文字盤から覗くヒューゴのショットで止まります。ここから時計を調整し、ぜんまいを巻きながら疾走するヒューゴの姿、一方で駅構内のおもちゃ屋のねずみのおもちゃに視線を向けるヒューゴ、そのおもちゃを取ろうとしておもちゃ屋の主人にとがめられ大切なノートをとられてしまう。かなたにドーベルマンをつれた警官が事件はないかとかぎまわっている。よくある昔の童話に出てくるいじわる警官といういでたち。しかも片足がないというお膳立ても常道に近い。この警官とヒューゴの追っかけのシーンと駅構内の花屋の娘と警官の淡い恋、犬を連れた老婦人と太った男性の心温まる交流の話などが絡んでほのぼのしたストーリーがどんどん語られていく。

ヒューゴの父は死んでしまい、父が残した機械人形を直すために部品を集めている。しかし、頼りにしていたノートはおもちゃ屋の老人に取られてしまったのだ。何とか取り返そうとおもちゃ屋に行っているうちにその老人の家の娘イザベルと親しくなって一緒に機械人形の真相を探すべく冒険をするというのが本編の物語。なのだがいまひとつ一本筋の通ったものが見えない。あっちにふらふらこっちにふらふらとさまざまなエピソードとのバランスがほとんど一緒なので雑然とした物語に見えてくる。

しかし、なぞを追ううちにイザベルの養父が映画製作者のジョルジュ・メリエスであることがわかり、一方図書館でメリエスの研究をする男も登場してどんどん機械人形の真相へ近づいていく。

トリック映画をたくさん撮ったメリエスはやがて勃発した戦争のために自分のフィルムもセットもすべて捨ててしまい、最後に機械人形を博物館に寄付したものの、その博物館も火事になったことがわかる。
クライマックス、地下室で見つかったメリエスの残したフィルムを再度上映する企画が模様され、人々の歓声の中メリエスは映画を上映、次々とトリックふんだんに盛り込んだ映像が映し出されていく。古き良き映画へのオマージュも交え、メリエスのお辞儀のショットから機械人形のアップにカメラが寄ってエンディングになる

全体が非常にファンタジックな物語で、終盤にさしかかって警官、太った男の話などがそれぞれにほのぼのしたハッピーエンドを迎えていく姿を交えていく。ふわっとした癒される展開で締めくくったマーティンスコセッシの意図は良くわかるが、3D映画の効果を意識しすぎた構図作りがかえってストーリテリングのほうへの演出が弱くなりストーリーの散漫さが目に付くように思えて、最後まで感情移入できませんでした。隣の女性は泣いていましたけど、ちょっと私はそこまで感動はしなかった。