くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「フェイシズ」「貞子3D」

フェイシズ

「フェイシズ」
最近のミラ・ジョヴォヴィッチはこの手の映画ばかりでている気がします。今回は人の顔が判別できなくなるという相貌失認という症状になってしまったサスペンス映画である。

主人公アンナはある日、友人との飲み会の帰り道、ちまたを騒がせている”涙のジャック”と呼ばれる殺人鬼の犯行現場に出くわしてしまう。必死で逃げるアンナは橋の上から転落、その際に頭を打って昏睡状態に陥る。一週間後目覚めたアンナは人の顔や自分の顔さえも判別できない相貌失認になってしまう。友人のみでなくフィアンセのブライスの顔もわからなくなった彼女だが、唯一犯人の顔を見た彼女は犯人からねらわれる存在となる。

アンナが見る顔が次々と変化するし、時に恋人に時に刑事のケレストに時に犯人に、そしてケレストの同僚ラニヨンにも次々と変わっていくので、みている私たちも今アンナに近づいているのが誰かわからなくなってしまう。ゾンビ映画を見た後、周りの人がみんなゾンビに見えるようなものである。

犯人の手が迫るというスリルと彼女がどうやって真犯人を突き止めるかというサスペンスが入り交じるのがストーリーの見せ場ですが、どうもいまひとつドキドキ感が少ないのはせっかくの相貌失認というレアな設定を映像として生かし切れていないせいでしょうか。

結局、警察で面通しをした時に犯人を見ていたというのが真相で、真犯人はケレストの同僚のラニヨンであると判明しクライマックスへなだれこむ。ケレストとラニヨンの格闘の末に二人とも死んでしまうが、ケレストにつれていってもらったことがある小さな島に移って症状をカバーしながら生活するあんなの姿でエンディング。

おもしろい設定ながら、もう一歩脚本を練ってもらえればおもしろくなり得た題材のようでちょっと残念。退屈ではなかったものの、物足りなさの方が勝っていたという感じの一本でした。

「貞子3D」
だいたい、何でまたこんな映画を見に行くの?と自問自答を繰り返しながら、結局、大好きな石原さとみをみたくて出かけてしまった。見たい映画が目白押しのこの時期になんとも暇な話だが、ちょっと、名作映画につかれていたので、ここで思い切りリフレッシュしてきた感じです。

ツィッターなどによると「世紀の愚作」なんて書いている生意気な映画評論家もいるようですが、この映画、結構楽しんでしまいました。ハリウッド映画のCG超大作よりもよっぽど3D映像を楽しめるのだから。もちろん鈴木光司が作り出した傑作「リング」のサスペンスフルスリラーの醍醐味はすっかりなくなって、ただの化け物映画になってしまっているし、ストーリーの工夫とかなんとかいう努力なんて全くない薄っぺらな物語なのですが、何にも考えずにぼ〜〜〜とみている分にはとにかく退屈しない。後ろでみていた女子高生たちは「めっちゃおもしろかったなぁ」と歓声を上げていたのだから、これでいいんじゃないの?

なんせ、大好きな石原さとみ以外になんと園子温監督作品で海外の映画祭で話題になった染谷将太くんまでちょい役ででてるのだから映画ファンとしてもうれしくなってくる。

そして、クライマックスで登場する貞子はなんと超美少女として登場。演ずるのは橋本愛さん。石原さとみと対決して合体して、そしてなぜか携帯を壊されて死んでしまうって、意味不明のエンディングですが、ある意味、かなり豪華なキャスティングなのです。

物語は「呪いの動画」なる都市伝説がはびこり、その動画を見たら死ぬという「リング」シリーズおきまりの設定。とはいえ、その怖さはいまさらなのでたいしたことはない。

そして、その動画を作った青年の目的は貞子を復活させるために女性を貞子の井戸に投げ込んでいるというこれまた意味不明な動機。その井戸にたどりついた石原さとみ扮する高校教師茜と刑事はそこで四つ足の化け物のような貞子まがいの怪物に襲われる。とうとう貞子もこんなおぞましい怪物になったかと思うと、そうではなくて、これはどうやら貞子の取り巻きらしい。これも笑える。貞子は悪の秘密結社のボスなのか??

茜には叫ぶと周辺のものを破壊する超能力があり、群がる怪物を一気に破壊。そこへでてきた貞子本人。実は貞子は復活するために肉体を欲していて茜がぴったりだと判断してでてきたのだ。そして前述したクライマックスへ。

ここまでくると、ばかばかしくて笑ってしまうのですが、こんなものをちゃんとしたキャストを組んで、たいそうな宣伝をして、しかも3Dという今時の映画に仕上げた製作者たちのおバカかげんにあきれてしまう一方で、これをB級ホラーとして楽しめる余裕も持っておくべきだと自分を納得させてみたくなるのです。

でもでも、劇場で楽しんで、損をしたとは思えない。まぁ、こんな低レベルのホラーを作ってきたのだから、一世を風靡したジャパンホラーが廃れるのはもっともです。でも楽しかった。・・・・・笑