くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ガール」「ケイト・レディが完璧な理由」

ガール

「ガール」
その映像スタイルが私好みの深川栄洋監督作品。物語に今一つ期待はしていなかったのですが、ご贔屓の麻生久美子さんがでているので見に行きました。まぁ、皆さんの評判が100店満点中8点なんていう人もいたようですが、それなりに楽しい映画だった気がします。

映画が始まって、テンポいい音楽をバックに香里奈扮する由紀子がガーリー風の服装にどんどん着替えていく導入部がとっても楽しい。そして、主人公の聖子、容子、孝子が登場、それぞれにそれぞれの人生を語るバーでのファーストシーン。由紀子以外は30歳を越えているという中で、いつまでもガール時代を忘れたくない美しい女性たちをこれまたきれいな女優さんが演じていく展開は男性としては楽しい。

小さなエピソードの数々がとってもおもしろいのに、全体がまとまっていないのがストーリー展開に物足りなさを感じる原因かもしれないし、四人の日常がそれぞれぶつかり合って打ち消してしまうために、それぞれの魅力的な物語が生き生きしてきていないのがさみしいような気がする。

それでも、ゴージャスに次々と華麗に変身する女性の姿には、本当に女性の存在感がちゃんと伝わってくるし、そんな、男にはない女性の「ガール」としての魅力をもっと女性たちが大切にしてほしいし、自信を持ってほしいなと私のような男からは思わせてくれる。そんな映画でした。

深川栄洋監督は光や色の使い方がとってもきれいでファンタジックなので、毎回楽しませてもらいます。それに人間ドラマとしての描き方も才能があると思うのですが、今回は今一つそれぞれの魅力がコラボレートしきっていなかったために物足りなくなってしまったかもしれません。

クライマックスは聖子の話と由紀子の話のウエイトを大きくせざるを得なくなってしまい、容子はともかく孝子の話が尻切れになってしまったのも残念。

でも映画として楽しめましたから、私は満足だし、そんなに目くじらたてて悪評する必要はないんじゃないかと思うのですよね。いいじゃないのこういう映画を楽しむのも。と、いうのが私の感想です。

「ケイト・レディが完璧な理由」
プラダを着た悪魔」の脚本家アライン・ブロオッシュ・マッケンナが脚本を書いているのでちょっと期待の一本でした。
とってもハートフルで明るい映画でした。

投資会社に勤めやり手の主人公ケイト・レディ。家庭も仕事もめまぐるしいほどに忙しい思いをしながら、要領のよさも可能な限り利用してやりくりする毎日がハイテンポで描かれていく。時々彼女の周辺の人々のインタビューに答える姿を挿入しながらケイト・レディがどんなに充実した毎日を送り魅力的か語っていく。

ストーリーの構成はよくあるパターンだし、とにかく家庭がかなりの状態なのに暗い物語にならず、優しい夫もぎくしゃくしてケイト・レディにからまない展開が実にいい。
結婚するときに「やめるときも健やかなるときも・・・」と誓ったにも関わらず性格の不一致とかそれぞれの人生観の違いとかでバラバラになった家族を描くのが典型のアメリカ映画の中で、とっても気持ちのいい作品だった気がします。

もちろん、今にも崩壊しそうなエピソードがちりばめられていますが、主人公ケイト・レディが絶対に一線を越えない。クライマックス、ピアース・プロスナン扮するやり手の投資家ジャックに誘われても娘と雪だるまを作る約束を守るために何のためらいもなく家族の元に走るケイト・レディの姿がとてもいいのです。

脚本の出来映えはそこそこですが、もう一つリズムに乗りきれない演出のテンポがもう一歩秀作になりきれなかったのが残念です。でも、沈んだ気持ちになることなく陽気に楽しめる一本だったのは良かった。サラ・ジェシカ・パーカーの存在感にかなり頼った感じでしょうか。