「一枚のめぐり逢い」
ニコラス・スパークス原作のおきまりのラブストーリーなのですが、さすがにパターンがマンネリしてきた感じがします。ただ、今回、監督が「シャイン」を監督したスコット・ヒックスなので、ちょっと期待もあった作品でした。
とにかく主演のローガンを演じたジャック・エフロンがとっても端整な顔立ちで、男臭いごつごつした容貌ではないので作品が非常にすっきりとしたものに仕上がっています。しかも森の中の川のシーンがまるで印象派の絵のように光をふんだんに使った映像になっていて、目が覚めるほどに美しい。ストーリーの展開は淡々としたもので、とはいっても特に退屈するようなこともなく丁寧に演出されている。しかし、薄っぺらい。そこがちょっと残念。
冒頭の運命の写真を拾うくだりから、その写真を見つけて立ち上がったためにそれまで座っていたところに爆弾が落ちて命拾いするのですがそのシーンにちょっと迫力がない。そして、その写真の女性を見つけて声をかけようとするが、ベスの早とちりにあれよあれよとその女性ベスの経営する犬舎で働くことになる下りも実にあざとい。
そこへ絡んでくるベスの元夫で暴力的なキースの存在感も弱い上に、キースの父親で町の実力者の存在もストーリーにそれほどスパイスにならない。ベスという女性がローガンと出会うところからずっと夫と別れ、ただ、男を求めていただけの寂しい女性にしか見えない。この欲望の固まりのような女性として描いた演出が実に作品を俗っぽくしてしまい、ニコラス・スパークスらしいピュアなラブストーリーのイメージがほころびてしまっている。
結局、とってつけたような嵐、子供がピンチになり、キースとローガンが助けにいき、都合いいことにキースは川に流されてローガンとベスはめでたしめでたしって、それはないでしょう。といいたい。
今までのニコラス・スパークス作品のような、エピローグで余韻が残る感動がこの作品では全くなく、平凡なラブストーリーとして終始。景色のショットがとにかく美しいが、それだけがせめてもの救いの一本だったかなという感想です。
「ディヴァイド」
単館上映のB級SFですが、ネットでほめている人がいたのと、宣伝フィルムが自分の好みの感じだったので掘り出し物探しに出かけました。
まいった。何の工夫もない悪趣味な密室劇。所々、ちょっとおもしろいカメラワークも見られるのですが、終始、グロテスクな展開に目を覆いたくなってくる。監督の趣味か、脚本家の趣味か、物語を語るというより、生理的な緊張感だけに思いつくままのグロを徹底したという感じである。
映画が始まると一人の女性が窓の外を見て涙ぐんでいる。そのクローズアップ、世界終末を思わせる町のショット、そのアパートの住民が大挙して地下のシェルターになだれ込む。こうして始まるこの映画、とりあえず避難した人々のところに武装した男たちが乱入し、なぜか子供だけ連れていく。その子供を追って外にでると周囲はビニールのトンネルになっていて、標本のように子供たちがいて、そのまま逃げ帰ったら、ドアを溶接されてあとは密室の中だけのいわゆる狂気に変わる人間ドラマ。
結局、ファーストシーンの女性が下水溝を伝って脱出したら町は予想通り廃墟になっていてエンディング。あのビニールのトンネルの研究施設のようなものの意味は?結局、予想通りの廃墟の意味は?何ともお粗末な脚本にあきれてしまう作品だった。まぁ、こういうのに出会うとき見ありという感じですね。