くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「るろうに剣心」「闇金ウシジマくん」

るろうに剣心

るろうに剣心
コミックの実写版と侮るなかれ、そして今時の時代劇とさげすむなかれ、これはおもしろい。スピード感あふれる殺陣シーンの迫力と爽快感、これこそ現代的なアクションの新しい形である。とにかく、次の殺陣シーンが楽しみになるほどカメラワークがすばらしいし、演出が抜群。しかも一年間「龍馬伝」で人斬り以蔵を演じ時代劇の素養を鍛え上げられた佐藤健が見事にモダンな侍の姿を演じきっている。ぎくしゃくした味わいよりも素朴な若さ故の侍の姿が実にこの作品のムードを盛り上げているのである。

さらに大友啓史の演出が実に細やかで丁寧であるために時代劇という舞台が嘘っぽく見えない。もちろん、フィクションであるから史実にあり得ないことも多々あるはずだが十分に原作の持ち味を映像に仕上げている。さらに横長の大画面を有効に利用した人物の配置によってテレビでは味わえにスケールを見せてくれるのもなかなかの見所である。

戊申戦争戦争の山間の戦いから画面が始まる。モノクロームでとらえる歴史の一ページに架空の人物人斬り抜刀斎が登場、狂気のごとく次々と斬殺していくが、そのスピード感は尋常ではない。そしてタイトルの後明治維新から10年後、この物語の本編へ。

亡き父の道場を引き継ぐ神谷薫と出会い、そこで居候になるも実業家武田の人を人と見ない新しい形の化け物に立ち向かっていく。

何十人を相手に鮮やかにジャンプやバクテンなどを駆使して描く大殺陣シーンが本当に見事で、本物の殺陣をできる俳優が皆無に近くなった現代でこのアクション演出は尋常ではない。とにかく、爽快、めまぐるしい、わくわくする。これはもう世界に通用する日本のチャンバラ映画の新しい形だろうと思う。その意味では群を抜いた出来映えだった。

薫の剣心への淡い恋物語も見え隠れしたさわやかな青春ストーリーの深さもちゃんと押さえた脚本にも頭が下がる。なかなかの秀作、見逃せない一本でした。


闇金ウシジマくん
何とも不思議な映画だった。主人公は山田孝之扮する闇金の丑嶋であるが、物語の中心にほとんど登場しないで常に裏で暗躍する。この手の物語にありがちな鮮やかに法律をくぐって金を取り立てたり、バックにある様々な権力を利用してピンチを切り抜けていく下りはほとんどない。しかし、そこかしこに丑嶋が登場するのだ。

原作もテレビドラマも知らないので若干、この人誰?みたいな人物も登場するし、脚本も決して優れたものではないとおもう。しかし、二時間を超えるドラマなのにおもしろいのだ。この山口雅俊という監督、ストーリーテリングのなんたるかを心得ているのだろうか。とにかく、次のシーンが楽しみなのである。

まぁ、丑嶋が次はどういう形で現れるのかを待つという興味で引っ張っていくのがいいのかもしれない。

物語の中心はイベント業でのし上がろうとする小川純という青年の話で、この青年を芸達者な林違都が演じている。今一つ魅力にかけるが、今時のチャライ青年のムードはでていると思う。

そして一方に大島優子扮するまじめ少女未來がいる。

この二人の物語の周りにわけのわからないチンピラまがいの青年たちややくざたちが暗躍、そしてなぜか不気味に登場するのが丑嶋なのだ。

今一つ物語に深みが感じられないのは残念ですが、エンターテインメントとしてのおもしろさは十分完成されていると思います。楽しいひとときでした。