一歩間違うと、何ともいえない駄作になるところがその寸前で傑作になったコメディ映画の傑作。
まず脚本がすばらしくよくできている。一見、平凡な少年野球チームの奮闘気であるが、大人たちへの微妙な風刺が聞いているし、さりげない演出の中にそれぞれの少年たちの個性が見事に描かれている。それでいて嫌みがない。
これは、よくできた脚本にマイケル・リッチーのグッドタイミングな演出、そして、偶然か意図的かそれぞれのエピソードのバランスが実によく絡み合った結果によるものである。もしどれか一つのテンポが狂うと目も当てられない凡作担ったかもしれない。そのいみで名作とはこういうタイミングでできるものだとつくずく思います。
いきなりだめ少年たちのだめ野球チームが写され、そこに坂ばかり飲んでいるだめ監督が就任する。どうやら町の議員にたのまれたらしいが、そのあたりの面倒ないきさつはすべてカット。一気に本編へなだれ込む。この唐突な導入部はある意味冒険である。
そして、子供たちが勝負にこだわり始めまじめになる。どんどん野球もうまくなるが、それに乗って大人たちが大人たちの論理で勝つことだけを考え始める。それに戸惑いながらも従う子供たちが、次第に大人から離れ、大人たちはそれに一歩遅れて気がついていく。
助っ人で登場するアマンダ役のテイタム・オニール。まだ幼児体型が残った彼女が魅力的だし、ジャッキー・アール・ヘイリーがピリッとスパイスを利かせる中盤からお展開も楽しい。
単純な少年野球チームの感動ドラマだったら時代を経た今では見ていられなかったかもしれないが、最初にも書いたように、練り困れ、書き込まれた脚本の秀逸さとストーリー展開のリズムのコラボレーションが抜群にかみ合ったために未だに傑作と呼べるものになった感じがします。いやぁ、すばらしい。いい映画です。