くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「我が家は楽し」

我が家は楽し

中村登監督の出世作となるホームドラマ。キャストが実に豪華でそれだけでも見応えのある作品であるが、物語としてはシンプルな家庭劇である。

ミニチュアをバックにしたタイトルが終わるととある家庭、製作された1951年の日本の中流家庭の経済事情を切々と語っていく。長女朋子は画家を目指しているものの、森永製菓の課長を務める父の収入もままならないようで、妻である山田五十鈴は内職をし、ことあるごとに着物や指輪を質に入れている。

岸恵子扮する次女信子は学校の旅行で関西方面へいくといってはまたお金がいると家庭を困らせてくる。その下の弟や妹も毎日の靴や傘もぼろぼろになってきている。にもかかわらずうっかり傘や帽子を忘れてくる笠智衆扮する父。永年勤続表彰のお金をスリにとられて落ち込んでみたりするのも実にさみしい。

大企業の課長なのにあの程度の収入かと疑問もあるものの、当時の家庭事情はこれほど切実かと思う。

朋子の恋人は肺病病で療養中で終盤で死んでしまう。

ここまで窮してくる展開は正直身につまされる思いでたまらないのであるが、最後はなにもかもがうまく流れていってハッピーエンドとなる。

90分あまりの映画ですが、淡々と語るリアルなホームドラマゆえか、さすがに終盤はしんどくなってしまった。おそらく当時みた人はそれなりに楽しめたのだろうかと思う。

決して傑作とは思えませんが、ホームドラマの割には薄っぺらく流していないで時代を的確に描いていく描写に見るべきところがある映画だった気がします。