こういう映画として陳腐な作品を見せられると全く製作者側の意識を疑ってしまいます。確かにテレビドラマとしてみていたときは非常に個性的な映像を楽しんだものですが、それはあくまでテレビであることを最近の演出家でわかっていない人が多すぎるように思うのです。
脚本があの「キサラギ」などを書いた古沢良太なので、その点だけで劇場へ出かけました。原作があるものなのでストーリー展開は基本的に動かしようがない。それにしてもひどい。これならテレビのスペシャル版である(という感想をよく目にするが、まさにそれ)。
ハイキーで外からの光をまぶしくとらえるカメラは意図的かと思うのだが、その意味が不明。立てこもる犯人がやたら狂ったようにわめき散らすが、これまたお粗末な演技演出で、あまりにありきたりである。
プロットからプロットへの転換のリズムが非常に悪くて、テレビシリーズの延長で見てこそ耐えられるが、改めて劇場へ入ると退屈きわまる。これは映画ではない。
シリーズの前知識の要不要はどうでもいいのだが、原作が毎回見せるメッセージもスクリーンで伝えるには物足りないし、ストーリーテリングにいたってはもう言葉にしたくないほど。
テレビシリーズのファンでもあり、独特の存在感に引き込まれていたのだが、映画にするならもっと映画的な趣向がほしかった気がします。それほど期待していた映画ではないのですが、それにしても残念。