くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロンドンゾンビ紀行」「愛について、ある土曜日の面会室」

ロンドンゾンビ紀行

ロンドンゾンビ紀行
とにかく、調子のよいリズムの音楽で映画は幕を開ける。やたら長いメインタイトルが終わると、新興住宅の建設現場。ユンボが掘り起こした昔の墓入った作業員二人がそこでゾンビにかまれてそのままゾンビに変わってしまう。

一方、住宅建設のために老人施設が撤去されるのに反対の若者たちが銀行強盗を計画。さらにその若者たちの祖父や祖母が入っている老人ホームの物語が描かれて紹介され、やがて町中がゾンビに覆われはじめて、老人ホームと若者たちが脱出していく様が本編となる。

アメリカ版ゾンビ映画とはどこかムードが違う気がするが、基本的にスプラッターなショットはふんだんに登場するし、ゾンビ映画の基本ルールの頭を吹っ飛ばして倒すシーン、噛まれたらゾンビ化するというルールなどオーソドックスにお話が進む。

ただ、どこか品がいいというかノリがまじめというか、はじけるようなコミカルなシーンは見られず、正当な展開で無事に主人公たちが無事船で脱出するラストシーンはまさにヨーロッパ映画の装いを感じてしまいました。

まぁ、この手の映画にどうこう言う必要はないので、ゾンビ映画ファンとして楽しむことができたので良しとしましょう。


「愛について、ある土曜日の面会室」
少女ロール、恋人との生活に苦悶するステファン、息子への思いに悩むゾラ。三人の人物の物語を通じて、それぞれの悲しみ、恋い、運命を探っていくオムニバス調の物語である。

全編に言いようのない重苦しさと沈滞感が漂いひたすらに暗い。それが登場人物たちのこれからの運命への力強さに変換されていくのならその展開を見届けることができるのですが、いかんせん、その未来も暗澹たるラストシーンで締めくくるから、何ともやるせないままに終わるのです。

映画が始まるとこれから面会室二はいる一団の人々。一人の女性が突然泣き叫び、行方不明になった人を捜してほしいと訴える。周りの人はその女性に何の力添えもせずに自分たちの面会人に会うべく進んでいく。

ここに居合わせた人々の中の三人のこれまでのいきさつを語り初めて映画は本編へ。唐突なカットを繰り返して描いていく演出スタイルは最初は戸惑ってしまうが、それぞれに何の関わりもない三つの物語だと理解してからはそれなりについていくことができる。

それでも、これでもかという重苦しい展開に何度か睡魔がおそってきた。登場人物が全員非常に暗い目をしている。何かの出口を求めているのに希望が見えないように思えるのである。その苦しさが見ている私たちをさらに引き込んでくる得るが、それでも物語は重いのである。

ラストは冒頭のシーンに戻り、叫ぶ女性を後目に人々が中に入り、ロールは恋人に会わないことに決め、外にでたときに付き添ってくれた青年に軽くキスをして別れる。ステファンは当初ためらう身代わりについて最後の最後で実行し、ピエールの親友は無事に脱出。ゾラはセリーヌの弟に面会して自分の息子のことを語るが結局、為すすべもなくその弟が実は・・と呆然として幕を閉じる。

確かにしっかりと作られたドラマだが、何度も書きますがしんどくて重い一本でした。