くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「コリドー」「バーニング・バージョンローマと共に」「テー

コリドー

「コリドー」
カナダのホラーサスペンス映画で、日本未公開の一本を見る。

突然、「タイラー!」と叫ぶ声。一人の男がクローゼットの隙間から廊下を見ている。そこにはポーリーンおばさん(タイラーの母)が倒れている。家の中に駆け込んでくるタイラーの友人たち。そしてタイトル。ショッキングに始まるこの作品、世界の映画祭で話題になった映画らしい。

本編が始まると友人たちが精神に異常をきたしたものの快復した友人がタイラーの元へ集まってくる。ポーリーンの葬儀の後で、その灰らしきものをタイラーが雪の森の中へまく。ところが光の壁のようなもので囲まれ、タイラーが精神用の薬を飲んでその幻覚を押さえようとする。

この光のような壁がくせ者で、友人たちも森で遭遇。その直後から感覚が鋭くなり、相手の心が読めるようになり、次第に異常を来してくる。いったいこの光の正体は?物語はこの光によって狂っていく友人たちと唯一精神病の薬で遮断できるタイラーとの葛藤劇である。

結局、この光の正体は最後までわからず、友人たちは次々と残酷な形で死んでいく。最後にタイラーは母親の中に入ったこの光の化け物を自分のみにとりこんで一気に消滅。友人の一人が後に残ってエンディング。

この光が宗教的な意味合いかエイリアンか、そのあたりは結局わからないが、独特のホラーワールドで中盤から一気にラストシーンまで引き込んでくれる。怖い物映画好きにはたまらない一本でした。


「バーニーズ・バージョン ローマと共に」
この映画が一般公開されていないのが不思議なくらいとってもおしゃれでモダンなヒューマンドラマの秀作でした。どんどん見入ってしまって最後は涙がじわっと頬を伝いました。本当にいい映画だった。

物語は自由奔放に生きる主人公バーニーの半生の物語。
映画が始まると現代のバーニー。テレビ局か何かのスタッフである。別れた妻に電話したり未練がましい行動をとる自由奔放な人物である。娘と息子がいるが娘がバーニーにことあるごとに世話を焼いてくれる。

そして1972年の若き日にさかのぼって本編が始まる。
最初の結婚ははでで軽い女性とのできちゃった結婚。親友や父親に冷やかされながらも出産したら死産。その後彼女は自殺。二人目は逆玉の大金持ちの女性と結婚。ここまでは軽い展開のコミカルな物語でこのまま二時間あまりとなるのはちょっとなぁと思っていたら、なんとこの結婚式で一人の知的な女性ミリアムと出会う。一目惚れしたバーニーは金持ちの女性ととりあえず結婚するが、ことあるごとにミリアムにアプローチ。やがて、離婚してミリアムの元に駆けつけ結婚。

ここから物語は俄然よくなってきて引き込まれてしまいます。二人の順調な結婚生活から次第に微妙な破局へ。一方で父親の死んどもからんでくる。
ところが、ふとした出来心で浮気したバーニーの行動が元で離婚。

時は徐々に現代近づき、バーニーに痴呆の症状が現れる。ミリアムと離婚したことも忘れ始めるが、ミリアムへの思いはかわらない。この一途な愛が何とも切ないのです。

ラストは遺言通り自分の墓にミリアムの文字。その墓参りをするミリアムの姿からカメラが引いてエンディング。最初に出会ったときのメモが財布からでてくる終盤のシーンは涙がでてきました。
本当に映画らしいロマンティックな名編でした。


「テール しっぽのある美女」
75分という中編ながら物語の展開が実に緩慢でどうにもならない不思議な一本でした。

意味ありげなテープの音に始まり、なにやら汚物処理をしている二人の男性のシーンへ。そして地下にはいると風呂桶の中から全裸の少女が。どうやら彼女は人間とは別人種らしく、そのしっぽを切り落とされた後があったりと不気味な展開。しかし、やたらスローモーションが多くて、最初は変わった演出かと見ていたが、そのうちしんどくなってくる。

そこへなにやら組織の人間らしいのが機関銃を持って登場、しっぽの美女ターレを探すが、結局、ターレの一族に殺されてしまう。そして、彼女たちは森の妖精だったというオチで、二人の男の一人が肺ガンだったのも直ってしまうというエンディング。

ノルウェー映画らしい趣向の作品でしたが、未公開が納得してしまう一本でした。