くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ナイトピープル」「シュトロチェクの不思議な旅」

ナイトピープル

「ナイトピープル」
逢坂剛原作、佐藤江梨子主演のミステリーである。ということだけで見に行ったのですが、なんともまれにみる凡作でした。

二転三転する物語、どんでん返しに次ぐどんでん返しの意味をはき違えたのか、混沌たる物語になってしまって何の面白味もない。さらにクライマックスの商店街の中での銃撃戦に至るや子供の遊びの世界である。ここまで薄っぺらく作られるとどうしようもない。

キャストにそこそこのメンバーをそろえているにも関わらず、脚本が悪いのか、骨子になる物語がしっかり描けていないためにばらばらにストーリーが進んでいく。何となく話は分かるがそれも何のミステリアスさもおもしろさも見えてこないのが実に残念。

あらすじを思い出してみるとなかなか楽しい映画に仕上がるはずなのになにをはき違えたのだろうか?何の意味もないシンメトリーな構図の多用、火のパフォーマンスを挿入する意味の不明さ、バック音楽のセンスのなさ、芸達者な役者たちへのお任せの演技演出。

まぁ、ここまで書かなくてもというかもしれないがお話がおもしろそうなので残念で仕方ないのです。

冒頭、ある政治家の家にやってきたやくざ風の男たちが突然現れてそのまま家に入って強奪。このあたりからどこか間の抜けた演出が気になったがそこから後、バーに佐藤江梨子が現れる下りもぜんぜん良くない。そして後はだらだらと話がどんでん返しを繰り返してラストシーンへ。

結局北村一輝佐藤江梨子がお金を持って走り去ってハッピーエンド。何なの?というラストで、映画としてのロマンもくそもないのには参った。もったいない原作だなぁ。もっと考えて、練って映画を作ってほしいと思える映画だった。


「シュトロチェクの不思議な旅」
ヴァルナー・ヘルツォーク監督特集でみたのですが、まさに題名通り不思議な映画でした。どこか吹っ飛んでしまっている展開にもう訳の分からないと言うより、これがヘルツォークなのだからしょうがないと納得して楽しんでしまいました。

映画が始まるとどこかの施設か刑務所のようなところから主人公ストロチェクが出所するところから始まる。アコーデオンやラッパなど妙なものを持ち物として返してもらい、訳の分からない講釈を垂れながら家に帰ってくる。

ドイツでの毎日に嫌気がさしたストロチェクはエーファという尻軽女とシャイツという老人とアメリカへ渡る。

ドイツのシーンが続いていたのにいきなりアメリカのシーンに変わり、そこで移動ハウスとテレビのローンに追いまくられ、エーファは体を売ってカナダへトラック野郎たちと逃げてしまい、家もテレビも競売になって、ストロチェクはシャイツと強盗をするが、当然シャイツは捕まり、ストロチェクはチキンのアトラクションを動かしてゴンドラに乗ってしまう。そこへ警察がやってきてエンディング。

なにがどうなの?というところだが、いわゆるアメリカをちゃかしているのか、文明をちゃかしているのか、行く先々ですっとぼけたストロチェクの的外れな言動とやたら長々としゃべる講釈はまさにヘルツォークの映像世界である。

非常に個性的な映画と言うほかない一本で、これもまた唯一無二のヘルツォークの世界として楽しむことができました。