くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」

すーちゃんまいちゃんさわ子さん

女性に見て欲しい映画、女性にお勧めの一本、とってもハートフルで楽しい、でもすごく考えさせられて胸が熱くなるそんな映画でした。

すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん、仲良し三人の女の子、といってもみんな30を越えて未だ独身。結婚に対する願望もどこかさめた感覚で見つめている。すーちゃんはカフェのベテラン店員で料理が趣味というほど食材にこだわる心優しい女性。まいちゃんはベテラン営業社員で上司にも頼られる一方、繊細な心の持ち主、妻子ある男性と不倫をしている。さわ子さんは自宅で仕事をしながら寝たきりのおばあちゃんと母と暮らす。

せりふの合間に本音がつぶやかれる演出がちょっとコミカルで、それでいてどこかどんどん引き込まれる魅力がある。そして、そんな本音が少しずつ現実の生活の中ににじみだしてくる展開もちょっと楽しい。

人生にはいろんな選択がある。なにを捨ててなにを選ぶか、その結果自分が生きて行く人生がどうなるのかそれは誰にもわからない。映画が始まるのは真木よう子扮するまいちゃんが医師に何か一つ捨てなさいといわれ、男性との関係を清算して一人歩いているところをすーちゃんの自転車に乗せてもらって泣く場面からである。

すーちゃんはお店のマネージャー中田と恋愛になりそうかと思っていたのに別の女性と結婚、さわ子さんは幼なじみの男性と再会したものの、子供を産むだけの結婚を迫られて別れてしまう。

まいちゃんは結婚相談所に登録し結婚を決め、妊娠する。すーちゃんと写真館に行って記念写真を撮る。まいちゃんが「あの時捨てた方の人生だったらどうなんだろう。子供を産んで今までの自分が消える気がする」という場面はなんともいえなく切なくて胸が熱くなる。さらにすーちゃんがこのまま一人で老いてそんでいく不安をつぶやく場面にどんどん引き込まれていきます。

一年後、まいちゃんとさわ子さんたち冒頭のシーン同様に森でお弁当を食べている。すーちゃんの手紙を読んでいる。おくれてかけつけるすーちゃんのショットでエンディング。

これからずっと先のことを今、あれもこれも決めていかなくてもいいんじゃないかな。最後のすーちゃんの手紙の文面が胸をうちます。さりげなく軽いタッチの映像なのですがとってもいいんです。監督の御法川修という人の演出の個性がなんとも不思議な一本でした。いい映画だったなぁ。