くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラストスタンド」「モンスター」

ラストスタンド

ラストスタンド
アーノルド・シュワルツネッガー復帰作品ということで、今更アクション映画ってことなのだが、まぁ、なにも考えずに派手な銃撃戦を楽しむ一本。気楽な娯楽映画でした。
監督は「悪魔を見た」の韓国のキム・ジウンです。

香港映画のようなぐいっと引きつけるファーストシーンで始まります。夜、一台のパトカーが道路脇で止まって、警官がファーストフードを食べていると、かなたから疾走してくる一台の車。あっと言う間に通り過ぎて、時速300キロと出る。そしてタイトル。

とまぁ、導入部がすごいが、後はただひたすらお気楽なアクションシーンが続く。この気楽さがとっても心地よい。

麻薬王コルテスを搬送しようとしたら、途中で逃げられ、麻薬王は特注のシボレーコルベットで、一路メキシコへ逃亡すべくハイウェイを走る。麻薬捜査官のリーダーが大好きなフォレスト・ウィッテガー。

さて、検問を次々と突破して、最後の最後にある村が、普段事件らしい事件もない田舎町で、そこの保安官がシュワルツェネッガー扮するレイ。すべて突破されて疾走してくる麻薬王を迎え撃つべく、レイを中心に奇妙な面々が派手な銃器を準備して待ちかまえるというもの。

当然、ところ狭しと銃撃戦が繰り広げられ、老体にむち打ったシュワルツェネッガーが大暴れ。最後はランボルギーニとのシボレーコルベット同士のスーパーカーチェイスの末に逮捕してハッピーエンド。若い保安官が死んだり、その親友のごろつきが保安官助手になったり、のどかな村の老人がおとぼけだったりと、よくある設定も楽しめる軽いエンターテインメントでした。でもシュワルツェネッガーさん、別にアクションで戻ってこなくてもいいんじゃないかな?


「モンスター」
今や旬の作家百田尚樹原作の人間ドラマ。

醜い容貌から、学生時代にみんなにいじめられ、好きな男性にアルコールを飲ませて失明させようとしたために、モンスターと呼ばれて村を追い出される主人公田淵和子。東京で整形を繰り返して、絶世の美女となって、かつての初恋の男性高木英介と再会するも、くも膜下出血か肝硬変かで死んでしまう。というお話である

とにかく、だらだらと長ったらしいシーンが多く、せりふの切れも悪いために、二時間ほどの映画がやたら長く感じてしまう。脚本の出来が悪いのか、演出が今一つなのか、せっかくのおもしろい原作を生かし切れていないのが残念な作品でした。

物語はそのオーナーの女性、未帆が絶世の美女という評判のレストランのシーン。それにかぶって学生時代、醜くていじめられていた田淵和子の姿が繰り返される。

レストランに一人の男性がやってきたのを見つけた美帆は、彼がかつての初恋の男性高木と認め、過去を振り返っていく。

整形のお金を稼ぐために、夜の商売を繰り返す和子の姿にも今一つ迫力はないし、たんたんと展開していく。彼女に真摯に向き合うソープの経営者も、良い人間なのだが、表だって物語を生かしてこない。

冒頭で、未帆がかつて自分をさげすんだらしい男に冷たく当たるシーンに、復讐劇がさりげなく絡むのかと思えばそうでもない。おそらく、原作が復讐劇ではなく、主人公の壮絶で悲しい人間ドラマとしてかかれているために、映画にするに当たりそのあたりをこだわったためだろうが、それはそれで、映画的にビジュアルな展開を埋め込むべきだった気がする。

テレビドラマレベルとしても、かなり緩慢すぎるし、映画として大スクリーンに映し出すにはちょっと無理が多すぎる。高岡早紀のもう少しうまく使えばもっとおもしろいだろうに、原作の味にこだわりすぎたための失敗という感じの出来映えでした。こうしてみれば「ヘルター・スケルター」の方が格段に映画的でしたね。