くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「中学生円山」

中学生円山

何の脈絡もない支離滅裂な展開と、ナンセンスギャグがちりばめられたクドカンワールドが炸裂する一本であるが、いかんせんその異世界の中にも一本筋が通っていないと作品にまとまらない。今回はその一本通った筋が作品を締めるまでのバランスが妙にちぐはぐで、終盤までただのドタバタ劇にしか見えなかった。

自分のオチンチンをなめようと必死になって自主トレーニングする主人公円山克也。父は平凡な果物好きのサラリーマンで、母は韓流ドラマフェチ、妹はちょっと天然のとぼけた自己中少女。そんな家族がすむ団地のすぐ上に一人のシングルファーザー下井がやってくる。

徘徊を繰り返す老人、近所の噂話ばかりする主婦、妙にませた小学生や、よくある傍若無人な男、などなど入り乱れての人間模様を描きながら、主人公が妄想するちょっと下品でエロい場面がちりばめられて進んでいく。

母が夢中になっている韓流ドラマの主演の俳優が電気屋になって円山の家にきたり、痴呆気味の老人が突然、ギターを持って歌い出したり、とやりほうだい。そんな中、団地の近所で殺人事件が起こり、円山は実は下井が犯人ではないかと妄想を始める。

結局、その妄想の噂が広まり、そしてそれが真実だったことがわかり、下井の過去が明らかになるのだが、このまとまりの展開までがやや長すぎるのである。柔軟の自主トレの成果がでるクライマックスの円山と、やくざたちの格闘シーンなど、もう少し全体のバランスを考えて配置すればもっといい作品になったきもする。

下井は自分の子供にピストルで撃たれて死ぬのだが、いつも水鉄砲を持っていた下井の子供という伏線も、あまりにもありきたり。

何でもありのギャグ満載のクドカンワールドの悪い部分だけが目立った作品になって仕上がってしまったようである。残念ではあるが、これもまたクドカンワールドだと受け入れたら、これはこれで楽しい一本だったかな?でも下品すぎるな。