くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「G.I.ジョー バック2リベンジ」「惜春」

G.I.ジョー バック2リベンジ

「G.I.ジョーバック2リベンジ」
第一作が結構好きだったので、今回も見に行ったが、何ともまとまりのないアクションばかりで、とってつけたようなストーリーの上に、何のひねりも工夫もない展開、ただ、派手な格闘シーンだけが売りなのだが、今回はそれも色あせて見えるのが残念。

あえていえば、山肌をワイヤーロープにぶら下がりながら忍者風の男女たちが飛び回るシーンはなかなか楽しかった。それでも、もう一工夫のいるアクション演出であり、せっかくのはらはらする舞台も、スピード感にちょっとかけるかな。

やたら日本の東京で忍者修行風のシーンが多用されるにもかかわらず、ストームシャドーの存在感もイ・ビヨンホンのカリスマ性も今一つ全体におもしろさを与えていない。最後は最後で、ブルース・ウィリスが引退したジョー軍団まで引き連れての登場と、映画の世界も高齢化の波が押し寄せている。

悪役の世界征服のお膳立ても、007の方がよっぽど荒唐無稽でおもしろい。それより、主要国の代表の会合の場所のしょぼいこと。「博士の異常な愛情」の作戦室の迫力を勉強してほしいですね。

本当に小品のB級SFアクションの凡作なのが何とも物足りない映画でしたが、それでも、この手の映画はそれなりに見て損はした気がしないのが不思議ですね。


「惜春」
タイトルが終わると、東京の老舗糸屋新堂の主人平七の四十九日の法要のシーンに映画は始まる。真上から座敷机を囲む親戚たちをとらえ、弁護士がおもむろに平七の遺言状を披露、三人の娘のうち糸屋の跡継ぎにふさわしい結婚をしたものに財産を譲る。ただし、財産争いはするなという都合のいい遺言状である。

当然話の展開は見えてくるが、本妻の娘で、糸職人としても人望のある長女藤代の物語の中心となる。妾の娘喜久子と桃子は財産のことは気にもしていない風ながら、森光子墳する母親はつは躍起になる。

この三人の娘の性格分けが実に極端で、落ち着いた藤代、いつも何かを食べていてぼーっとしたおっとりムードの喜久子、やたらちゃきちゃきと現代的なスチュワーデスの桃子と色分けがはっきりしている。そこに、京都の帯屋の息子勝間と藤代の恋、糸屋の番頭で店のものから信頼もある持井の藤代への想いなどもからみ、さらに桃子が勝間に思いを寄せていく下りも絡んでくる。結局、予想したとおり喜久子が持井との子供を妊娠し、糸屋新堂の店を継ぐことになり、藤代は、父平七の心根を引き継ぐことが一番と、勝間の父曽我の誘いにのって丹波の焼き物の里へ行ってエンディング。

京都や奈良の景色の中で藤代と勝間らのシーンが描かれる下りもあるが、カメラが竹村博に変わるとこうも違うかと思えるほどにふつうの映像になってしまう。さすがに「古都」「紀ノ川」「暖春」などの成島東一郎のカメラとは明らかにそのレベルの違いをまざまざと知る。そのせいか、普段なら中村登の作品ではワンカットぐらいしか人物のいないインサートカットとしての風景がでてくるが、この作品では何度も何度も、瓦屋根や町並みのカットが挿入される、それがかえって作品のリズムを崩していることも確かではないかと想う。

妾だったはつのキャラクターが妙に下品で、作品全体の静かなムードや落ち着いたラブストーリーをけちらしてくるのが妙に気になる。もちろん、妾であったことの苦労を否定するわけではないが、森光子が演じるところで作品が俗っぽくなってしまうのである。結局、喜久子にも嫌われ、二度とこの店に来るなといわれてしまう。

今回見た中村登作品の中では、個人的には中より下の感じの作品ですが、それでも、しっかりとした俳優たちによって演じられる古き日本の心の物語は安心してみられますね。

特に東野英治郎のどっしりと落ち着いた存在感がラストで際だつし、ややわざとらしいものの香山美子のおっとりとした存在感もおもしろい。平岩弓枝の原作のためか、もしかしたらテレビドラマの存在もあったのか、時折突拍子もない人物がワンシーンでてくる場面もある。

でも、それなりにいい映画でした。