くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グランド・イリュージョン」「マッキー」

グランド・イリュージョン

グランド・イリュージョン
宣伝フィルムをみていたときから、かなりおもしろいかという予感がしていたが、期待通りのおもしろさだった。ただ、悪く言うと、それ以上ではなかったのである。

監督は、娯楽作品で名を馳せているルイ・レテリエであるが、彼の演出スタイルは、とにかく娯楽一辺倒で走るのだが、今一つ物足りなさがある点だろうか。この作品も、とにかく、冒頭から、華麗なくらいに見せ場の連続でどんどん引き込まれるが、結局、ありきたりな謎でエンディングというやや弱さが見える。

映画が始まると、四人のストリートマジシャンの華麗なショーが次々と紹介される。そして、その傍らにフードをかぶった男が暗躍している。四人がひと仕事終わると、一枚のカードが置かれている。そのカードが示す場所に集まる四人は、そこで、仕掛け部屋があって、なにやら床が光って、みるみる何かが見えてくるが、そこで暗転、物語は一年後に移る。このカードの意味が後ほどさらりとでてくるが、結局、くどい説明はない。

とにかく、カメラを振り回した映像が、一見華麗であるが、最後までこのカメラワークを貫くので、やや散漫にならなくもない。

一年後、四人は、これから壮大なイリュージョンを仕掛けると言ってステージに立っている。そして、一人の男を瞬間移動させて、フランスの銀行に送り、そこから金庫の金を奪うのだ。

フランスからインターポールの女性アルマが派遣され,FBIのディランとコンビを組んで、まず四人を逮捕するが、証拠がなく釈放。

ここに、次々とマジックのネタを暴いて稼いでいる男サディアスが加わり、四人のフォースメンと名乗るマジシャンと,FBI、サディアスとの攻防線が始まる。

カメラは、ほとんど俯瞰で、四人の行動と、それを追うFBI等の姿をハイスピードで演出していく。いわゆる、イリュージョンのおもしろさを、スクリーンという映像の中に描いていくという手法である。観客は、次は次はと釘付けになっていくのだ。

次のターゲットは保険会社のオーナー。預金残高を操作するというマジックの披露の後、物語は最後のクライマックスへなだれ込む。

果たして彼らの本当の目的は何か?彼らの背後にいると思われる黒幕は誰かというのが、ここからの見所であるが、たぶん、あれだろうと言う動機が見えてくる。

実は、昔、サディアスにネタをばらされ、挙げ句の果てに金庫を抜けるマジックに失敗して死んだ一人のマジシャンがいたというエピソードが冒頭に語られる。最後のネタはこれだろうと思ったら案の定だった。最後のターゲットは金庫の会社で、金庫ごと盗むというもの。

華麗なCGアトラクションを空撮で延々ととらえながら、見事、金を盗んで、クライマックスのイリュージョンへ。

さて、最後の最後に、サディアスがはめられて逮捕され、そこへFBIのディランとの会話の中、実は本当の黒幕はディランだったという、多分そうだろうという真相。

エピローグは、四人がディランにあって、回転木馬に乗って「アイ」という存在と接するというもの。「アイ」ってつまりなに?というのはわかりづらいが、さらっと流して十分である。

エピローグは、フランスでアルマにディランがすべての真相をはなすというラストシーンへ続く。

前半の華麗な映像世界が、どんどん、理屈が入ってくると、ややスピード感が乱れ、第二、第三のイリュージョンにすっかり引き込まれているのですが、何か、後もう一つ何かを盛り込まないともの足りなさを感じる。

でも、おもしろい。それは確かである。娯楽映画としては決して後悔しない出来映えだったと思います。楽しかった。


「マッキー」
インド映画ですが、これが何とも楽しかった。いや、おもしろかったといえる。もちろん、インド映画なので、美しい女優さんとダンスシーンがみられればそれでよかったのだが、ダンスシーンはほとんどない。たぶん、海外向けにカットしたものかと思います。

女優さんが、うっとりするほどに美しいのはもちろんですが、ストーリーの展開が実にスピーディ。インド映画に珍しく、ややグロい描写も多々でてくるのは気になりますが、アクションエンターテインメントとして、かなりのレベルでおもしろかった。ヒットしている理由がわかる気がします。

物語は実に単純で、一人の美しい女性ビンドゥーを二年間慕っているジャニ。ところが、このビンドゥーに建設会社の社長スディープが目を付けてしまう。最初は寄付などの名目で彼女の慈善事業に近づいていたが、そのうち大胆に。ところが、彼女がジャニという近所の若者に気があるらしいときがついた社長は、ジャニを殺す。

ところが、なぜか彼は生まれ変わってハエになるのです。つまりマッキー。

そして、社長に復讐するべく、様々ないたずらを仕掛ける。そして、ビンドゥーに自分はジャニの生まれ変わりだと伝えると、今度はビンドゥーと一緒になって社長を殺す為にいろいろやり始める。

マッキーになったジャニは筋トレをしたり、ビンドゥーに作ってもらったマスクをつけたりと武装して社長を脅かす。とにかく、ハエが踊ったり、いろんなものでトレーニングするしぐさがコミカルでかわいい。社長も、うるさいハエが実はジャニの生まれ変わりとわかって、執拗に攻撃してくる。

この攻防線が物語の最大の見せ場になる。CGを使った派手な爆破シーンや、小さな虫に必死になる社長の、おどけながらも死にものぐるいの戦いが、コミカルである以上に、かなりスリリング。この演出が実にうまい。

そもそも、世界一の映画生産国のインドなのだから、この手の娯楽に対するレベルはそれなりになると思う。だから世界市場を目指していけばかなりハイレベルな娯楽作品が生まれてもおかしくない。

で、とにかくおもしろいのだ。細かい伏線もきっちりとクライマックスに生きてくるように配分してあるし、非現実的な話なのに、なぜかすんなりとみている。そしてラストは、瀕死になったマッキーが、最後に自分が火だるまになって、社長を、おもちゃの大砲につめていた玉で撃ち殺し、そのまま家を爆破して社長を倒す。

エピローグ、町をバイクで走るビンドゥーにちょっかいを出してくる若者を、どこからともなくハエが飛んできてやっつける。「彼女に近づく奴は殺す」とマッキーがもどってきたことが映ってエンディング。なんか、痛快な終わり方で、思わずにんまりしてしまいました。

やはり、先日の「ロボット」もそうですが、アイデアの豊富さはさすがにインド映画の底力ではないかとうなってしまいます。本当に楽しかった。