くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴッドファーザーPART II」

ゴッドファーザーPARTⅡ

さすがに、これだけの傑作になると、細かい部分を指摘して、ああだこうだと言えない迫力がある。まるで、スクリーンにどっかりとあぐらを組んで、さぁ、見なさいと言わんばかりである。

見たのは高校生の時で、その時でも、すばらしい映画だと思ったが、こうして40年近くたった今、そしてそれなりに映画を見てきて、それなりの知識と感性が備わった今見ても、この映画のすばらしさは全く衰えない。

作品全体から漂ってくる気品、迫力、格調の高さは他の類を見ないだろう。

ゴードン・ウィリスのすばらしいカメラが、まるで、ふつうの画面なのに、随所にこだわった色彩を見事にスクリーンの中で芸術に昇華している。

イタリアの移民としてアメリカに渡ったビトー・コルレオーネの物語と、時代が移り変わりつつある中で、父の残したファミリーを守るべく非情になっていくマイケル・コルレオーネの物語が、時に重なり、時に変化しながら描かれていく。ストーリーは決して複雑なものではないのに、物語の行間から漂ってくる家族のドラマに胸が圧迫されるのである。

ニーノ・ロータのもの悲しいメロディーだけが、マイケルの心の中の悲しみを表現しているだけにさえ見える。

常に冷酷なまなざしで親しいはずの友人や、兄弟、妻さえも見据えるアル・パチーノの演技力のすばらしさ。さりげなく支えるロバート・デュバル演じるトムの存在感、すべてが、一つの生きざまになり、歴史になりストーリーを語っていくのだ。

これが、本物の傑作、アカデミー賞というものが選ぶべき映画史に残す芸術である。