「男性飼育法」
1959年という製作年の世相を皮肉った軽いタッチの喜劇である。豊田四郎監督作品ではあるが、文芸映画に見せるような目を奪うような演出は施されていない。ただひたすらに、土地取引に浮かれる人々、金儲けに走る世の男たち、妙な研究に没頭し、妻をないがしろにする一昔前の男性像を、思い切り皮肉って、笑い飛ばす物語は、当時はかなり受けたものだろうと思う。
さすがに、今みると、そのアイロニーも、時代風俗もほとんど感じられないのは寂しいけれども、量産されたプログラムピクチャーの一本としての値打ちで見る作品だったかと思います。
「有頂天時代」
アナウンサーになった主人公とそのフィアンセの、ちょっと甘酸っぱいような、それでいて、当時の若い恋人たちの変わりつつある考え方を叙実に物語に盛り込むとともに、たわいのないドラマに仕上げた、いわゆるプログラムピクチャー的な一本。
まだまだ、テレビがなかった時代ゆえに、ラジオ収録で、歌手が歌うシーンをしっかりと映像で映したり、公園のカップルを盗撮、盗聴してみたり、胡散臭い風俗店を盗聴してみたりと、さすがに今では考えられない放送業界の、かつての何でもありの姿が、時代背景として楽しめる点では非常におもしろい一本でした。