くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「楊家将〜烈士七兄弟の伝説〜」「フライング・ギロチン」「

楊家将〜烈士七兄弟の伝説〜

「揚家将 烈士七兄弟の伝説」
中国の歴史物語で、解説によれば「三国志」を越える人気があるという。監督はロニー・ユーである。

香港映画、特にこの手の活劇は単純なストーリーなので、実に楽しい。

この作品でも、隣国遼に攻め込まれ、迎え撃った宗の軍勢の揚家の揚業が、敵の中に孤立する。それも、見方の裏切りに寄るものである。殲滅させられた揚家の軍勢が、槍で突き刺されて、大地に並ぶ場面や、クライマックス、人を隠すほどの草原の中で、弓矢で一対一で戦う場面など、実におもしろい演出が施されています。

適地で孤立した揚家の当主で、父揚業を救うべく、七人の息子が父の救出に向かう。そして、遼の将軍耶律原の軍勢に一人また一人と殺され、六男だけが、父の遺骸を抱えて戻るという筋書きは、本当にスペクタクル。
あとはもう、戦闘シーンのおもしろさと、所々にCGを多用した、豪快な武器の交戦のシーンなど、ストレートに見所がちりばめられている。

本当に、分かりやすいエンターテインメントであり、ほとんどぼんやりとみていても楽しくエンディングを迎える。しかも、いかにも勇壮なエンドクレジットが延々と流れるあたりまで、いかにもな大作なのだからうれしくなる。これが娯楽映画ですね。


「フライング・ギロチン」
題名は、いかにもB級アクションに見えるが、何のことはない、かなりシリアスな歴史ドラマでした。’75年の「空飛ぶギロチン」のリメイクです。監督はアンドリュー・ラウ
ただ、最大の見所は導入部で、清朝によって組織された謎の暗殺集団、血嫡子と呼ばれるメンバーが、庶民を煽動してまとめあげ、脅威となってきたために反逆者と見なされた、天狼と呼ばれる頭目が率いる一味を、独特の刀に仕掛けられた、ギロチンのような刃が飛ぶ飛び道具で戦うシーンがすばらしい。このシーンをみただけでも、この映画を見た甲斐があるというものでした。

ところが、そんな派手な導入部の後は、この血嫡子の集団が、清朝の汚点であると、汚名を着せられ、排除されていく様が、主人公とその親友を中心に展開していく人間ドラマになっていくから、ある意味かなりまじめな映画なのです。

そして、ラストは、鉄砲や大砲によって圧倒的な火力で殲滅させられてしまう天狼の一味と、すべて惨殺された血嫡子の集団。そして、時の皇帝がこの後、一時の平和を築いたというテロップで終わる。

まぁ、香港映画ならではの、ある意味、統一性のない、でも見せ場はいっぱいという娯楽映画です。クライマックス、大砲の玉が、大空を弧を描いて飛来するシーンは、まるで「アルマゲドン」の如しで、天狼がすっくとたつシーンはキリスト映画のよう。何でもありの、てんこ盛りのエンターテインメントです。
とにかく冒頭のアクションシーンにつきる作品だったでしょうかね。でもおもしろかった。


「名探偵ゴッド・アイ」
アハハ!アハハ!アハハ!とみていると、いつの間にか、え?え?え?となってきて、どこまで暴走するのかと思いきや、ラストシーンは訳も分からずほんのりと感動させてくれる。全く、ジョニー・トー監督の感性というか、ストーリーテリングの才能というのには、計り知れないものがあるなとつくずく思ってしまう映画だった。

映画は、主人公の盲目の男ジョンストンが、通りを歩いている。そこへ、シトという友人の刑事が、彼の姿を双眼鏡で見つけて、ホーという女刑事を彼に近づける。後はもう、この二人のどたばた劇が展開する。

特に切れ者でもないジョンストンだが、かつての刑事の感は鋭くて、次々と、犯人を見つけていく。それに翻弄されるホー刑事。

このホー刑事には、かつて幼い頃に、行方がわからなくなった少女シウマンがいて、彼女は実はどこかで殺されているかもしれないからと、ジョンストンに推理を依頼する。この物語が中心に走りながら、最初はどたばた劇、そして、ミステリーへと移り、猟奇殺人の犯人を見つけたかと思うと、さらにサスペンス、そして、ジョンストンとホーのラブストーリーで幕を締めくくるのだ。

特に、シウマンの犯人を追いつめ始めるクライマックスからの展開は、もうなんでもありで、ジョンストンが車を運転するし、はちゃめちゃながら、ドキドキするスリリングな展開へ進む。

そして、実は真犯人は別にいて、というか、全く勘違いだったことがわかり、言ってみれば、嫉妬に狂ったシウマンが夫を殺害した現場へ。そこで、またもジョンストンは危機になるが、瀕死のけがのホーが駆けつけ、シウマンが産んだ子供を取り上げ、三人で、食事をしていて、と、とんでもない展開からエンディング、エピローグへ進む。

全く、あれよあれよだが、根幹の物語を決してぶれない、ジョニー・トーのうまさを堪能できる傑作でした。