くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「セッションズ」

セッションズ

全く、アメリカという国は不思議な国である。割り切った合理主義が生み出す世界は、ある意味、独特の考え方である。

この映画で描かれる主人公マーク・オブライエンの物語は、六歳でポリオにかかり首からしたが不随になっている。なんとか、機械に頼りながら生活する実在の彼のシーンに始まるのだが、やがて、女性とのSEXを考えるようになるというのがストーリーの中心。しかも、アメリカには、SEXセラピストなる職業が存在し、何かの理由で、ふつうのSEXができない人に,SEXをさせてあげる。当然、実際に性交するのである。娼婦とどこが違うかというと、ただ、6回に制限されている、とかいうとってつけたような規則があるのみ。

最初に惹かれたアマンダという女性には、体よく去られ、次にシェリルというセラピストに出会う。そして、うまく挿入できるようになり、最後は心が通い初めているも、シェリルは人妻であり、ビジネスライクに別れる。そしてジェーンに出会い、その五年後に死を迎えるマークの葬儀がラストシーンになる。

神父に懺悔をしながら、自分の行動に悩み、一方で、人並みの人生にあこがれるマークの姿は非常にピュアで美しい。しかし、どこか、のめり込めないのは、SEXセラピストがふつうに認められるアメリカという人種性、入り込めない部分がある故だろうか。

作品の作り方は、ふつうで、シンプル。特に驚くような演出もなく、ただ、まっすぐに主人公マークをとらえていく。良質の作品であるが、やはり、どこか、一歩引いてしまうのである。