くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「花形選手」「僕は友達が少ない」

花形選手

「花形選手」
清水宏らしい軽妙な語り口で見せるコメディですが、やはり第二次大戦間近ということもあり、かなりの戦意高揚映画になっている。

しかし、それは表向きで、今、改めてみると、かなりの嫌みだらけの風刺満載というのがおもしろい。やたら「勝てばいいんだ」というせりふが耳につくし、主人公である、陸上の花形選手とその友人、さらに学生たちの行動にしても、かなり軍隊をちゃかしているところがある。

映画は、鉄砲を掃除する学生たちのシーンに始まり、オーバーラップを繰り返して、行軍する彼らのシーンへ。そして、とある村で泊まり、そこで幾ばくかのエピソードが絡んで、またもとの場面に戻ってくる。

得意の移動撮影が随所に登場し、コミカルな登場人物がストーリーの重さを払拭していく脚本が実にほのぼのと楽しい。

中編と呼べる一本ですが、なかなか楽しめる佳作だったように思います。


僕は友達が少ない
たわいのない映画だけれども、こういうノリのあるラブストーリー、ちょっと好きです。
パンチラシーン満載で、アニメチックなテンポで走りまくる物語ですが、随所に意識的にとられた斜めの構図や、スローモーション、回転するカットなど、映像への工夫がみられる。

いったい、いつまで高校生役をするのとおもえる北乃きいちゃんが演技を引っ張り、ほかのお色気キャラの演技力不足を何気なく支える。といって、ただ、健康的なHシーンだけを見せ場にするのではなく、ストーリー展開もしっかりと組み立てているのは好感。採用した音楽のノリもいいから、本当に軽いノリの作品として楽しめる一本でした。

原作はライトノベル、監督は及川拓郎と、映画ファンにとってこれというブランドはない。導入部は主人公小鷹のつぶやきシーンでその背景を紹介するのが、ややくどいと思えなくない。しかし、夜空がエア友とはなしているシーンで物語に登場し、ちょっとHな個性的な登場人物がちらほらとでてくると、映画が動き始める。

友達のいない同士が「隣人部」なるクラブを作り、理科オタクの女の子が、バーチャルゲームを持ち出して、そこに入り込んでいくあたりからが本編。

まあ、ゲームの世界が現実を浸食するというよくある展開の後に、小鷹と夜空の関係が、実は幼なじみだったというラストシーンまで、よくある物語である。

小鷹の妹や、マリアという10歳のシスターなどのキャラクターが、最初だけしか生きていないのが残念で、ほかのキャラクターを全面に出そうとした結果、というか、パンチラシーンを盛り込むために、未成年キャラは押さえ気味にした結果、せっかくの彩りが色あせたのはもったいないですね。

全体に作りは大したことはないけれど、楽しめるし、個人的には大好きな青春映画でした。