くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ニシノユキヒコの恋と冒険」「スノーピアサー」

ニシノユキヒコの恋と冒険

「ニシノユキヒコの恋と冒険」
ゆるい、ゆるゆるの映像と、健全すぎる男と女のラブストーリー、左右対称の構図を中心にし、暖色の色彩を基調にした画面づくりが、とにかく、ほのぼのとした恋物語をスクリーンから私たちに語りかけてくれる。

監督は井口奈巳という人です。

この雰囲気がとにかく、いやされる映画で、登場する女優がどれも大好きな人ばかりで、それだけの目的で見に来たのですが、なんか、ほっとさせてくれる作品でした。

映画は、海辺のカフェに主人公ニシノユキヒコが、夏美とその娘のみなみをつれてやってくるところから始まります。夏美がコーヒーを頼み、みなみとユキヒコはバナナパフェを頼む。緩やかに進む夏美とユキヒコの会話。

そして、時が少したって、ニシノユキヒコの後から一人の荷物を抱えた女性が、声をかけ、リンゴをばらまいたところへ、ニシノユキヒコが拾いにいって、車にひかれるショット、そして物語は、ニシノユキヒコの葬儀の日へと移る。

幽霊になったユキヒコは、いまや中学生になったみなみのところへやってくる。そして、二人で、ニシノユキヒコの実家の大邸宅にやってきて、みなみは、そこで一人の女性からニシノユキヒコの過去の女性遍歴を語られるというのが本編。

会社の上司の女性、マンションの隣の二人の女性、かつての彼女などなどとの緩やかな物語が語られていく。終始、落ち着いたカメラワークと色彩がとにかく好感で、もちろん,SEXをにおわせる展開もあるものの、決して、じめっとした映像は作らない。その潔すぎる健康感が素敵で、ニシノユキヒコの独特の魅力がきれいに具現化されていく。

そして、ラストは、冒頭のカフェで、夏美に別れを告げにきたニシノユキヒコが旅立っていってエンディング。

まるでパステルカラーのスケッチを見たような感覚で映画を見終えることができる。決して、優れた作品とはいえないのですが、ちょっと牽かれる魅力のある一本でした。


「スノーピアサー」
何年ぶりかで,SF映画の秀作に出会いました。監督は、ボン・ジュノです。

丁寧に書き込まれた脚本と、緻密なセット、それらを有効に利用したカメラワークと、ストーリーテリングが実によくできています。
B級になりそうなストーリーを、まるで、SFという名を借りた寓話のような展開にし、それでいて、押しつけるようなメッセージが見えてくるわけでもない。その微妙なバランスが見事な一本でした。

映画は、地球温暖化が問題になっている現代、世界が開発したCWー7という薬品を宇宙で散布する計画がナレーションされる。ところが、これを散布したら、温暖化は収束するが、地球は氷河期のようになり、生物はほぼ絶滅、残された人類は、ウィングフィールドという鉄道家が建設した「スノーピアサー」という世界中を一年で回る列車の中で暮らしている。そしてその列車の最後尾には、貧しい人々が、先頭には裕福な人々がいて、主人公カーティスは当然、最後尾で反乱を企てている。

ここまで書くと、よくある反乱もののSF映画だが、実は反乱の計画がスタートするのはほんの導入部で、列車を前に進むにつれて、そこには、植物園があり、水族館があり、サロンがあり、寿司屋があり、サウナがあるというまさに世界の縮図が展開する。

そして、ドラッグ中毒のセキュリティの専門家ナムグンと娘ヨナをつれて最前列にたどり着き、この列車を運行させるウィルホードがいる部屋にたどり着くが、実は人々を適正の人数にするために計画的に反乱を起こすように、最後尾のリーダーギリアムとウィルフォードは連絡していたのだ。

そして、年老いたウィルフォードはカーティスに後継にあるようにすすめる。

ところが、ナムグンがドラッグを爆弾にしてドアを吹き飛ばす。生き残ったのは、冒頭で連れ去られ、機関室の部品の代わりにされていたターニャの子供とヨナ。

二人は、破壊された列車を後に外にでると、実は、地球は暖かくなり始めていて、シロクマが彼方で歩いていて、こちらを振り返りエンディング。

ファーストシーンからラストシーンまで、プロットの組立とバランスが見事で、訴えるべきは訴え、見せるところは見せるという絶妙のリズムでストーリーが展開する。機関社内の狭さを見せるカメラも見事で、緊迫感を生み出す。

大傑作とまではいかないまでも、久しぶりの秀作SFだった。