とにかく、キラキラと輝くような映画で、みずみずしい富田靖子の存在感が光る青春映画の一本。たわいのない物語の中に、恋、友情、死、大人の世界、揺れ動く女心等々がちりばめられてます。
主人公アイコが自分の家の屋根に登るのをカメラがクレーンで追いかける。ラストもこのシーンで締めくくる。
高校一年生のアイコの夏休み直前から始まり、夏休みの出来事、クラブ活動、合宿、同級生との諍いなどが淡々と語られていく。
最初に、登場人物が説明されるが、ほとんど関係がない。原作があるので原作では、そのあたりが重要になるのだろうが、映画では、そんな部分はすっ飛ばして、次から次にエピソードが羅列されていく。
そして、常に物語は夏に焦点を絞っているのも特徴で、冬や春、秋の景色やシーンはワンカットもない。幼なじみの元彼が暴走族にいることで心配の電話をしてみたり、危うい女心もきっちりと描き、東京からきた美しい先生の自殺騒ぎから、終盤、暴走族の青年が目の前で事故死するのを目撃、「もうだれも死んでほしくない」と泣き叫び母親に抱きつくクライマックスから、一転して、明るく高校生活するアイコのシーンへつなぎ、屋根に登るシーンでエンディング。
もちろん、時代性は隠せないのですが、水に反射する光の輝きのような、純粋さときらめきが全編に満ちあふれている。今では、こんなピュアな作品も作れなくなったような気がするなと、時の流れを寂しく感じる一本でした。