「ローン・サバイバー」
ネイビー・シールズ最大の惨事「レッド・ウィング作戦」を描いたピーター・バーグ監督作品。
実話であるのだが、いかに最近のデジタルカメラの性能というか、軽量化が進んだものだと圧倒される映像でした。
映画は、ネイビー・シールズの訓練の様子が細かいカットを繰り返して映し出され、タイトル。一人の瀕死の男がヘリコプターで救出される場面に始まる。
そして、物語は3日前、タリバンの幹部を捕獲、あるいは抹殺するためのレッド・ウィング作戦が実行されることになり、四人のネイビー・シールズが現地に投下する。
目的の人物を頂の上から認めた彼らが、次の準備をするために休息していたところ、山羊飼いの男たちと出くわしてしまう。そして、彼らを殺して、作戦の秘密を守るかどうかき協議した結果、彼らを解放し、作戦の中止を決意。しかし、作戦本部に満足な無線連絡が取れないため、一時、頂の上に避難するのだが、タリバンは素早い行動で彼らに襲いかかってくる。
岩肌を走り回り、駆け落ちる緊迫感ある映像をカメラが延々と追いかけていく。クローズアップを多用した映像で、追いつめられていく彼らの表情をとらえ、襲ってくるタリバンたちは常に遠景でとらえて、不気味さを作り出していく演出がいい。
やがて、四人のうち三人がやられ、一人残ったマーカスが、あきらめたとき、数人のアラブ人に会う。これで最後かと思った矢先、彼らは彼を助け、村につれてかくまうのだ。
逃げてきたものは、いかなる手段でも助けるという、古い掟を守る彼らは、アメリカ軍に知らせ、おそってくるタリバンと戦い、マーカスを無事引き渡す。
ラストシーン、助けられたマーカスに、アラブ人の子供が抱きつくシーンに胸が熱くなる。
アメリカ称賛とか、局地戦争への正当性などは脇に置いて、純粋な人間ドラマとして、この作品を見れば、しっかりと作られた物語としてほめるべき作品であると思います。おもしろかったという表現は適切ではないけれど、退屈しない一本でした。
「神様のカルテ2」
評判があまり良くない第一作も結構好きな一本であるし、その続編としての深川栄洋監督作品。
物語は、テレビのスペシャルドラマ程度の内容ですが、主人公栗原が住んでいる部屋の幻想的なライティングが、前作もそうだったが、この映画の好きなところである。
そんな家庭のファンタジックな舞台とうらはらに、病院のシーンは、完全なリアリティそのものの映像になっている。この好対照が深川栄洋監督の個性であり、淡い夕日のような光の色彩を使った自宅のシーンが魅力です。
映画は普通の出来映えですが、素直な物語が、素直な展開と、素直なラストシーンで涙を誘ってくれます。ただ、本筋のストーリーの脇におかれた栗原の友人の進藤の夫婦の物語が全く影が薄れてしまい、貫田医師と妻千代の物語だけが妙に表だってしまう。もちろん、主人公栗原の心の葛藤も弱い。ただ、分かりやすい話なので、そんなこだわりを捨てれば、貫田の死によるストーリーで感情に訴えるから、涙するのです。
普通の映画というのが感想ですが、それにしても大好きな池脇千鶴がちゃんと、看護婦長として存在感を見せてくれたのが唯一の収穫でした。