くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラスト・ベガス」「ディス/コネクト」

ラストベガス

「ラスト・ベガス」
マイケル・ダグラスロバート・デ・ニーロモーガン・フリーマンケヴィン・クラインと大スター四人をそろえての、なんとも、適当な豪華映画、全くアメリカというのは不思議なプログラムを企画するものである。

映画は、悪ガキ四人組とマドンナ、ソフィの子供時代の姿から始まる。何気ないシーンのあと、物語は58年後へ。今ではそれぞれ、孫をみたり、持病に苦しんだり、平凡な人生で終わりを迎えようとしている。かと思いきや、一人ビリーが、娘ほど年の離れた花嫁をもらうことになり、悪ガキ四人が集まってラスベガスへ繰り出す。

あとは、少年時代の恋のわだかまりを交え、新しい恋人ダイアナとの出会いを迎えるビリーの物語を中心に、例によって、アメリカ映画特有のにぎやかな老人映画が展開するというもの。

全く大スターたちの利息のような映画で、これという見せ場も、懲りようもなく、正直、いやになるほどな当たり前のようなシーンばかり。ただ、でている四人のビックさがストーリーを引っ張るという展開である。

見逃すわけにも行きにくい一本だが、見たからどうだという程度の映画だった。


「ディス/コネクト」
ネット上で情報が漏れ、それがきっかけで、それぞれの人物がどん底に近い状況に陥るが、その真相を追求する中で、チャットなどにつづった本音が、本当の人間の心の絆を映し出し、取り戻していくというサスペンスドラマで、三つのエピソードの羅列から始まり、そのそれぞれの展開が、さらに一つのメッセージにつながるという脚本が実によくかけている秀作だった。

物語は、一人の内気そうな青年が、ヘッドフォンを聞きながらコンビニに入ってくる。そこには悪ガキらしい二人が、ペットボトルに小便を入れて売場におくといういたずらを仕掛けている。たまたま青年と少年二人が目を合わせ、少年二人が、ネットで見つけた青年に、女名でチャットを仕掛けるところから物語は幕を開ける。そして、親しくなった偽名の女性に、裸の写真を送ったのだが、それがネットにばらまかれ、自殺未遂を起こす。

ここに不妊治療がうまく行かず、ぎくしゃくしてきた夫婦。その妻はチャットで本音を言い合いながらうっぷんを晴らすが、ある日、そのチャットがきっかけで情報が盗まれ、夫のカードが不能になり、預金も引き出されたことが判明。その調査に、元ネット犯罪の刑事だった男に調査を依頼する。

そして、ウェブサイトでアダルトチャットの取材をするテレビ局のレポーターは、一人の青年とコンタクトをとり、その情報を番組にして一躍脚光を浴びるが、必要以上にその青年にいれこんでしまう。

最初は、ネットによる恐怖前面にしたストーリー展開が、どんどん深みを帯びていくが、それぞれをそれぞれの当事者が調査していくうちに、チャットの中にかかれた妻や、孤独な青年、犯人の二人の少年たちが、父や夫などへつづる本音が見えてくるのである。

そして、その本音が、本来伝えるべき夫や父親が知るに及んで、物語はじわじわと人間ドラマとしてメッセージを訴えかけてくる。この展開が実にうまいのだ

女性の名前でチャットした少年二人は、もとネット犯罪の刑事だった男で、父との会話が少ないということをチャットで書き込んでいて、それを父が読む。

自殺未遂の青年の父は、少年二人が犯人と分かり、彼らの家に行くが、結局、少年の父と格闘になり、誤って少年を殴ってしまい、そのまま家に戻る。病室で、家族の絆を取り戻す。

ウェブチャットの青年を助けようと、FBIに情報を流したレポーターは、FBIの行動に不審を覚え、自ら青年を助けに向かうが、青年から、レポーターの行動は、ただの偽善だと罵倒される。

ネット、しいてはSNSの情報漏洩の恐怖を描いた作品のように見えて、実は、それとは関係のないところで、人と人の心の絆が薄れている現実を暴露し、その真実は、皮肉にもネットの中に流れているという展開へと進む。優れた着想と脚本に仕上げられたドラマが見事な一本で、ちょっとした見応えのある秀作だったように思います。