くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴジラ」(昭和29年版)「女子ーズ」「罪の手ざわり」

ゴジラ

ゴジラ」(昭和29年版)
何度目かのスクリーンでの鑑賞。今回はデジタルリマスター版である。

もちろん、作品は完成度の高さ云々よりも、制作された時代を見事に反映した緻密な脚本と、怪獣ものという新ジャンルに挑戦した東宝のスタッフの意気込みに再度驚かされる。

物語は、今更、改めて語るまでもなく、水爆実験を繰り返し畳めに目覚めたゴジラが、東宝お得意の新兵器オキシジェンデストロイヤーで葬り去られるまでの物語であるが、今回見直して、そのストーリー展開のスピーディさに改めて、感心してしまった。

冒頭の次々と起こる船舶事故、それに続く大戸島での惨事、そして、東京へ現れるゴジラ。ぽんぽんとハイテンポでエピソードがつづられクライマックスへなだれ込んでいく。

円谷英二の特撮の見事さと、その演出の巧みさは、おそらく完成品の一つといえる、大人の鑑賞に堪えられる出来映え。ただの怪獣映画の走りではなかったことを再認識しました。


「女子ーズ」
最近はまっている福田雄一監督作品。

ある日突然、世界を守る戦隊に入ることになった、5人の何の特技もない女性5人が繰り広げるギャグと、笑いと、ちょっとぼけとつっこみの楽しい映画。これというしっかりした物語というより、ひたすら、小気見よいギャグが女子トーク的にどんどん展開。

映画は、仮面ライダー風の怪人と戦う戦隊姿の四人の女子。なぜか一人こなくて携帯で電話するところから始まる。

あとは、少し前にさかのぼり、彼女たちがいかにこんなことになったかと、その後、お互いの毎日の生活の中でのさりげない確執も絡んで、最後は例によって怪人と戦うギャグ満載のシーンで締めくくり。

でてくる5人がどれもかわいいし、飛び出すトークは女子トークばかりで、それに翻弄される怪人のコミカルさがとにかく絶品であきない。

間の取り方、エスカレーターや歩道橋などの小道具の使い方など、どれもが笑いにつなぐ演出に、もう癖になる作品である。

エンドタイトルも楽しい曲で締めくくり、見終わって、ハッピーになれてしまう一本となりました。


「罪の手ざわり」
ジャ・ジャンクー監督作品は、あまり得意ではないのだが、今回は、それなりに最後まで見ることができた。もちろん、おもしろかったわけでもないのだが、例によって移り変わりゆく中国の姿を、それについていけなくて戸惑う人々四人を描くことでオムニバス風につづっていく。

トラックが横転し、道路にばらまかれたトマト?オレンジ。その傍らにバイクにまたがり見つめる男。こうしてこの映画が始まる。

カットが変わると、バイクに乗った一人の男が、さっきのトラックの横を通り過ぎる。少し行くと、途中で若者たちに囲まれ、金を要求されるが、いきなり、ピストルを出して撃ち殺してしまう。

さっきの、トラックの横にいた男が村に帰ってくる。村の炭坑が実業家に独占され、それにかかわった男や社長たちをショットガンで撃ち殺して、去っていく。

画面が変わると、冒頭のピストルで若者を撃った男が、家に帰ってくる。家族は、出稼ぎをしていると思っているが実は強盗を繰り返しているのだ。やがて、家を出た彼は、道行く女を撃ち殺し、金を奪い、深夜バスに乗る。そして途中で降りる。

深夜バスが、とある停留所に着く。一人の男が降りてきて、待ち合わせている女と会う。二人は不倫しているようであるが、別れ話のようになる。女は娼館で受付をしている。不倫をしていた男の妻が、やくざをつれてきて彼女をリンチしたりする。どうでもよくなった彼女に、店の客が執拗に言い寄ってきて、思わずナイフで殺してしまう。そして警察に自ら電話する。

クリーニング店で働く若者。同僚と無駄話をしていて、その同僚が機械でけがをし、その責任を押しつけられる若者。給料がなくなると知った彼は職場を辞め、ナイトクラブでウェイターをする。そこで一人の女性と恋に落ちる。やがて、そこをやめて、工場へ行くが、かつての職場の若者たちに見つかる。そして若者はアパートから飛び降りる。

それぞれになんの接点もない。ただ、現代中国の矛盾を描いていくという感じのストーリーで、いったい中国とはどういったところなのかとさえ思えるような、人物、エピソードが次々と語られる。

その淡々とした語り口は、実にうまいのだが、どうも、中国映画の一つのジャンルの秀作を見たという程度の感想で終わる。やはり、好みではない監督作品は、これ以上の感動は生まれてこない気がする。