くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」

kurawan2014-07-15

パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
非常に丁寧に演出され、画面にもこだわった好感の持てる秀作でした。なんといっても、本物のドイツの人気ヴァイオリニストデビッド・ギャレットを主役のパガニーニ役に抜擢したために、演奏シーンがすばらしい。

特に後半のロンドン公演のシーン、あるいはそれに先立つ酒場での一本の弦での曲弾きシーンは圧巻で、このシーンをみただけでもこの作品を見た値打ちがあるというほどのものである。

監督はバーナード・ローズ、前作でベートーヴェンの物語を描いているという実績から、この手の音楽映画が得意なのでしょうか、自身で撮影をしている演奏家をとらえるカメラアングルがすばらしい。

主人公パガニーニの少年時代、父の前で見事なヴァイオリンを演奏し、父に曲の名前を聞かれて、自分のオリジナルだと答え、殴られるシーンから幕を開ける。
そして一気に大人のパガニーニ、ホールの舞台で演奏するも受け入れられず、勝手にふざけた演奏で笑いをとって引っ込む。その様子をじっと見ていた一人の男ウルバーニ、彼はパガニーニの才能を見抜き、彼のマネージャとーなり、巧みに彼の女好きと酒好き、ギャンブル好きを操りながら、イタリアで成功させ、やがてロンドンからオファーが来るまでにしていく。

やや、脚本が荒い部分もないわけではなく、唐突なストーリー展開がみられるところもあるが、後半、霧に煙るロンドンの町を、まるで白い雪景色のような色彩演出で映し出す映像はすばらしく、ここでのクライマックスから、シャーロットとの恋、そして、それを巧みに反故にするウルバーニの硬骨さ、そして、やがて迎える晩年からパガニーニの死まで、一気に走る終盤は見事である。

ストーリーの荒さを、本物の演奏の迫力と、それを見つめる見事なカメラで描く、なかなかの音楽映画の秀作だったと思います。見終わった後の充実感が、なかなかの一本でした。