全編脳天気に突っ走る台湾コメディの佳作。とにかく、何の中身もうんちくも、こった設定も台本のおもしろさもないはずなのに、二時間半ほどが全く退屈せずにラストシーンまで楽しんでしまう。この、魅力はどこにあるのだろうかと、見終わってから思い返してみるが、思い出せない。ただ、楽しかった。
監督は、16年ほど前に世界に衝撃を放ったヒットメーカー、チェン・ユーシュンである。
映画は、伝説の料理人の娘シャオワンが、都会へでていってモデルになろうとするも芽が出ず、巨額の借金を恋人にかぶせられて故郷へ戻ってみると、なんと、母は料理に全く才能がなく、それでも陽気な毎日をおくっているが、宴席料理大会にでることになる。
そこに、借金取りは助手として入り込むし、かつての父の師匠はボケてしまって、不思議な味わいで物語に参戦、さらにその娘は見よう見まねで絶品の料理をアドバイスする。
さらに、シャオワンの追っかけのような三人組のコミカルなキャラクターや、シャオワンの店の向かいの主人が2500年の歴史のある醤油を提供したり、アレヨアレヨと、個性的な登場人物が飛び出してくる。
地下鉄線路際に住むホームレスの料理人の絶品料理などなど、決して綺麗事のお涙頂戴感動ドラマになっていない。
クライマックスは、宴席料理大会での一騎打ちなのだが、あるのかないのかわからないが、次々と繰り出される独創的な料理が物語を彩る。
物語の展開は即興的だが、多彩な人物がストーリーを語っていく感じで、CGを多用した安っぽい特撮シーンもまた一興。
アレヨアレヨと見ている間にエンディング。あれ?もう二時間半たったの?という感じなのである。この語り口、オリジナリティはクセになるかもしれない。そんな一本でした。