くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トラッシュ!-この街が輝く日まで」「サン・オブ・ゴッド

kurawan2015-01-14

「トラッシュ!この街が輝く日まで」
さすがにリチャード・カーティスの脚本は見事である。

細かい部分まで丁寧に書き込まれた設定にうなってしまう。しかも、子供を描くとやたらうまいのがスティーブン・ダルドリー監督、でてくる三人の少年の目がきらきらしているのである。まさに絶妙のコラボレーションで完成された秀作、おもしろかったし、どこか胸が熱くなるし、それでいて、結構社会派ドラマだったりする。

映画は一人の少年、ラファエルがピストルを誰かに向けているシーンから始まる。どうやらビデオ映像であるようなので、これが終盤で結びついてくるのだろうと思う。

画面が変わると、ジョゼ・アンジェロという男が、なにやら荷物をつめているが、そこへ警察らしい男たちが踏み込んでいて、あわてて逃げ、その際、財布をなげすてる。その財布はゴミの収集車にのり、やがてゴミ山へ。そこでは、少年たちがゴミを漁り、資源を回収して暮らしている。

その少年の一人ラファエルが、その財布を見つけ、友達のガルドと金を山分けするが、金以外に、裏に数字の書いてある写真やカード、少女の写真、鍵が入っている。

直後、警察がやってきて財布について聞くが、ラファエルたちは答えず、友達で、ゴミだめのようなところにすむラットに相談、その鍵はコインロッカーの鍵だといわれ、探しに行くと、一通の手紙がロッカーに入っている。

どうやら、この財布の秘密は莫大な金で、サントスという汚職議員の隠し金をジョセが隠したらしいことが判ってくる。

こうして、ラファエル、ガルド、ラットの三人は、財布に隠された謎を求めて、手紙の宛先である刑務所にいるジョセの叔父を訪ねたりして真相に迫っていく。

一方、サントス配下の汚職警官は少年たちを追いつめ、財布を手に入れるべく迫ってくる。さらに、金と一緒に、サントスの賄賂の元帳なども隠してあることから、必死で少年たちを追いつめてくるのだ。

サスペンスフルな展開と、細かいエピソードやさりげない登場人物を実にうまく使いながらストーリーが展開、少年たちの縦横無尽に貧民街を駆け抜けるスピード感も重なって、娯楽性とドラマ性を交えてどんどん進む物語はかなり内容は濃い。

そして、聖書に織り込まれた数字に隠した暗号を解いたラファエルは、金の隠し場所は墓地であると見つけ、いってみると、ジョセの娘ピアが隠れている。そして死んでいないピアの墓の中に、金と元帳を発見、すんでのところで汚職警官から逃れ、元帳は少年たちを世話している神父の元で働くオリビアのところへ、金はゴミ山でばらまき、後は自分たち三人とピアをつれて海辺の街に旅立っていく。

神父やオリビアの描き方がやや弱い気がするが、全体として、かなりのクオリティの作品で、とにかく、ぜんぜん退屈しない。本当にいい映画だった。


「サン・オブ・ゴッド」
アメリカで大ヒットしたテレビシリーズの映画版ということである。

今更でもない、イエス・キリストの誕生から復活までを描いた宗教ドラマで、一つ一つの聖書の奇跡のエピソードがつづらられ、最後の晩餐からクライマックスの磔の場面へながれていく。

わかっているとはいえ、やはり磔場面は素直に胸に迫ってくるし、クローズアップとスローモーションでしっかりと描かれた映像はなかなかの出来映えである。

そして、それに続く復活の場面は、キリスト教徒ではないものの、すがすがしい感動を呼び起こしてくれた。

映画としては、可もなく不可もないふつうの映画だが、やはり、キリストの物語は、大きく逸脱した展開や演出ができない分、正当にまっすぐに作られていくから、逆に胸に迫ってくる感動がある。

監督はクリストファー・スペンサーという人です。


シン・シティ復習の女神」
フランク・ミラーロバート・ロドリゲス監督の作品、第一作から9年ほどたっているから、前作の物語などわすれているが、最初にあらすじをやってくれる。それでも思い出せないのは、今回もそうですが、オムニバス的なストーリー展開故に骨幹の話を覚えていないのです。

例によって、デジタルのモノクロと赤、黄色の画面でCG満載と、スプラッターな殺戮シーンが繰り返される。それがこのシリーズのスピード感であり、おもしろさであるが、それほど長い映画ではないのに、やたら長く感じるのは、三つの主要なお話が展開するからでしょう。

ロワーク議員に恨みを持つ、ジョンの愛人ナンシーの復讐劇をクライマックスに、悪の街シンシティの、何でもありの無法地帯の出来事が展開。

どでかい殺し屋マーヴを演じたミッキー・ロークは、ほとんど竹内力状態で、竹内力が演じても不自然ではない感じに、笑ってしまった。

ジェシカ・アルバを始め豪華な女優陣もセクシーさ爆発。日本刀を振り回すミホなる女殺し屋が、やたらかっこよかったりもする。

それほど中身もなく、やりたい放題の映像づくりと、独特の影と光、サイケデリックな演出が楽しいし、痛快すぎるアニメチックなアクションシーンも最高で、まさにB級映画の魅力に酔いしれるからいいですね。

こういう映画肩が凝らないから、気楽にみるには最高の一本でした。